神戸新聞NEXT
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 夏に集まった親戚と、朝の連ドラ『らんまん』が話題になった。歌を詠み草花を愛した明治生まれの祖母が、生前に幼少期の叔父たちを連れて、牧野富太郎博士の植物採集の会に参加していたのだという。ニシノミヤンの星、あいみょんの主題歌「愛の花」も心に沁(し)みるが、音楽を担当する阿部海太郎さんの知的なセンスも素晴らしい。印象的な場面は、ヒール役のように登場する田邊教授が苦境に陥った時に、バイオリンで奏でるバッハのパルティータだ。表には出ない教授の心を映し出すように、言葉にならない感情を引き受ける音楽の懐の深さにはっとした。