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東灘マンスリー

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大阪湾を一望できる「風吹岩」=神戸市東灘区内
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大阪湾を一望できる「風吹岩」=神戸市東灘区内
蛙岩。岩のくぼみを「カエルの首のよう」と話す森下孝一さん(左)と尾坂吉三郎さん=神戸市東灘区内
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蛙岩。岩のくぼみを「カエルの首のよう」と話す森下孝一さん(左)と尾坂吉三郎さん=神戸市東灘区内
大きな岩がごろごろし、間を縫うように芦屋ロックガーデンを進んでいく=神戸市東灘区内
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大きな岩がごろごろし、間を縫うように芦屋ロックガーデンを進んでいく=神戸市東灘区内
まだ中間地点を過ぎたところなのに雨ケ峠の標識に寄りかかる末吉佳希記者=神戸市東灘区内
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まだ中間地点を過ぎたところなのに雨ケ峠の標識に寄りかかる末吉佳希記者=神戸市東灘区内

 江戸時代、深江浜(神戸市東灘区)に水揚げされた鮮魚は六甲山越えの最短ルートで有馬温泉の湯治客のもとへ運ばれた。商人たちが利用したその道の名は「魚屋道」。現在も六甲山の登山ルートとして残る。道を守り、後世に伝える取り組みを続ける「魚屋道を歩こう会」のメンバーとともに、その道に挑んだ。(末吉佳希)

 「ようやくスタートライン」

 2月上旬。魚屋道(ととやみち)を歩こう会メンバーの森下孝一さん(70)と尾坂吉三郎さん(66)と一緒に山道に足を踏み入れたのは午前10時前。全12キロの行程中、まだ約1キロ地点だが、気温が14度と高めで、着込んだ服の中は早くも汗ばむ。

 沢伝いに緩い上り坂を行く。空を隠すように茂った木々から漏れた日差しが、地面をまだら模様に照らす。足元に気を取られていると、不意に身長ほどの段差に突き当たる。膝を高く上げて乗り越えるごとに、息が上がっていくのが感じられた。

 「頭が見えてきた」。40分ほど歩くと、森下さんが前方を指さす。高さ約2メートルの巨大な岩「蛙(かえる)岩」だ。確かにカエルがちょこんと座っているように見える。やがて落ち葉ばかりの道は褐色で粒の粗い砂利道に変わり、辺りにはごろごろとした岩が転がり始めた。この付近は「芦屋ロックガーデン」など4本の登山道の集合地点。話し声が聞こえる先へ向かうと、絶景ポイント「風吹岩」に着いた。高さ3メートルの岩をよじ登ると、松林の奥に広がる大阪湾を一望できる。頬をなでる風が心地良い。靴ひもを強く結び直して、先を急ぐ。

 今度は上り坂から一転、急な下り坂が延びる。次第に、東おたふく山の南麓に広がる「芦屋カンツリー倶楽部」のゴルフ場が見え出すと、そこは「畑の場」と呼ばれる中間地点だ。「深江の商人たちは積み荷の中継地点として、奉行所に届け出をした記録も残っている」と森下さん。自身もリュックサックを肩から下ろして見せた。

 再び上り坂が始まったところで「この先の雨ケ峠でお昼休憩ですね」と尾坂さん。その言葉を励みに、歩く速度をグッと上げる。雨ケ峠に到着すると、数日前に降った雪がまだ残っていた。

【蛙岩】魚屋道を深江からスタートして約2.5キロ地点にある巨大岩。大蛇が巻き付いていたという目撃談から「蛇巻岩」、狼に魚を狙われそうになった商人が岩陰に隠れて難を逃れたことから「狼岩」などとも呼ばれている。

2019/3/13
 

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