投稿コーナー「私も生きヘタ?」
「起立性調節障害」について大学生の「まことさん」(25)に聞きました
7月のテーマは、主に思春期に発症する自律神経失調症で、朝起きられなくなったり、頭痛やめまいに苦しんだりする「起立性調節障害」です。大学生のまことさん(25)=伊丹市=は、15歳の高校1年の時に発症しました。生きづらさに直面した体験や、支えになったの両親の言葉を教えてもらいました。
-15歳の頃は?
「兵庫県外の全寮制の中高一貫校で学んでいました。朝早いのが得意だったのに、高校になって急に起きられなくなりました。体がものすごく重く、手足は氷のように冷たい。水の中にもぐっているように、人の声は遠くからしか聞こえません。部活の朝練も午前中の授業も出席できなくなりました。自分に何が起こっているのか分からず、泣きながら親に電話しました」
-どうしましたか。
「自宅療養を決めました。両親に2人がかりで起こしてもらっても、ソファに座ることすらできません。起きると、首からサーっと血が下る感じです。顔は真っ青。体に力が入らず、食欲もなく、ひどかった時は1日中不調でした」
「起立性調節障害と診断された時は、病名が分かって、ほっとしました。自分は、なまけているのではなかった、と。でも、先が見えない不安や、周囲と差ができることへの焦りがあふれてきました。憧れていた高校生活と現実とのギャップが大きく、気持ちがすさみました。部屋の壁に穴を開けたこともあります」
-その後は?
「高校2年の夏から通信制高校に移り、自分のペースで学べるようになりました。専門学校の頃は、午後に授業を受けていました。時間がたつにつれ、朝のしんどさが治まっていき、悩むことが減っていきました。卒業後は、午前中もアルバイトなどの予定が入れられるようになりました」
-周囲の支えは?
「死にたいと考えた時期もありましたが、親が『生きていてくれればいい』と言ってくれました。何時に起きても『おはよう』と声を掛けてくれ、起きられない自分を肯定してくれました。家に居場所があり、親には感謝しかありません。友人も理解してくれ、体調が良い夜に公園で会い、しゃべってくれました」
-悩んでいる人へ。
「時間はかかるかもしれないけれど、良くなるので、無理せず生きていてほしいです。私はこの春から大学で社会福祉を学んでいます。25歳から学生生活のやり直しです。何歳からでもやり直せると思います」(聞き手・中島摩子)