生きるのヘタ会?×神戸新聞

投稿コーナー「私も生きヘタ?」

「場面緘黙症」について兵庫県在住「えりさん」(28)に聞きました

 「生きるのヘタ会?」の9月のテーマは「場面緘黙症」です。兵庫県在住のえりさん(28)が筆談で取材に応じてくださいました。

 -いつ発症?

 「小学2年生のころです。家では家族と普通に話せましたが、一歩外に出ると声が出なくなりました。こんな症状は世界で自分だけだと思っていましたし、なぜ他の人と同じように話すことができないのか不思議でした」

 -周囲の反応は?

 「当初、家族からは『普通に話したらいいのに』『話さない方がはずかしい』などと言われていました。ただ、家族も理解はしてくれて、いつもどこかへ行くときには祖母について来てもらっています。職場の人は、お客さんに話しかけられたときには代わりに対応してくださいます。仕事中は筆談や首ふりで相手とコミュニケーションを取っています」

 -苦労したことは?

 「まずは買い物です。コンビニエンスストアの店員さんは『袋にお入れしますか』と言ってくださる方もいますが、大抵は『袋はどうされますか』と聞かれるので、自分で答えなければならない状況になります。そのため買い物は手で持てるくらいのもので済ませます。エコバッグを常に持ち歩いていますが、バッグを出すだけでもすごく緊張します」

 「福祉系の大学を受験して合格しましたが、大阪で一人暮らしは無理だったので、辞めて通信制の大学に入学しました。ただ、その大学も中退しています」

 -転機は?

 「9年前、同級生のお母さんから『話せなくてもいいから来てほしい』と言われ、小学生が利用する施設でのアルバイトを始めました。この紹介がなければ、今でも働かずに引きこもっていたかもしれません。アルバイト先では周りの人に迷惑をかけないようにするだけで精いっぱいですが、児童から『ご飯、おいしかったです』と言われると、とてもやりがいを感じます。話せなくても、頭を下げて気持ちを表現するように努めています」

 -今の状況は?

 「なかなか笑うこともできず、アルバイト中にお客さんから『あいさつをしたのに無視された』と言われたり、アンケートで『従業員の態度が悪い』と書かれたりしたこともあります。これからは少しずつ緊張する場面を減らし、話せる人を増やしていけたらいいなと思っています。カメラマンになりたいと思っていた時期もあり、自然の風景や犬を撮っています。余計なことを考えずに夢中になれるので楽しいです」

 -社会に伝えたいことは?

 「見た目では分からないので誤解されやすいですが、本当は話をしたいと思っています。もっと理解が広まればいいなと思います」

 -同じような症状で悩む人へのメッセージを。

 「私のように、外で全く話せなくても、周りの理解があれば働くこともできます。それぞれができる方法で、無理のない範囲でコミュニケーションを取っていけばいいと思います」(聞き手・浮田志保)




 

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