投稿コーナー「私も生きヘタ?」
価値観の押し付けに苦しみ「親を好きになれない」というミントンさんに聞きました
生きづらさを考える「生きるのヘタ会?」の4月は、親子関係の悩みを取り上げます。兵庫県のアルバイト女性「ミントンさん」(66)は子どものころから、親による価値観の押し付けに苦しんできました。「親を好きになれない」と打ち明け、同時に「肯定的に人生を受け入れられない」とつぶやくミントンさんのお話です。
-子ども時代は?
「父も母も、昭和一桁生まれで、戦争に耐えた世代です。私は子どものころからずっと、『甘えるな』と言われて育ちました。『勉強しろ』と言われて頑張ったら、次は『えらそうにするな』『男より前に出るな』と。新しいことをしようとすると、『失敗したらどうするんだ』と言われます。ほめられた記憶はありません。大学受験に失敗してつらかった時は、なぐさめられるのではなく、責められました」
「社会人になってからも門限があり、遅くなって、頰をたたかれたことがあります。1人暮らしをしようとしたら、母に泣きつかれ、断念しました。とにかくしんどい親でした」
-それらの経験が、どう影響しましたか?
「ありのままを受け入れてもらえなかったため、自分に自信が持てません。自分をけなす声が聞こえるんです。そして、自分中心に物事を考えられません。『あなたは何をしたいの?』と聞かれても、分かりませんでした。嫌なことに対しても、ノーが言えません。私が我慢すればいい、と考えてしまいます」
-その後の人生は?
「親は世間体から『早く結婚しろ』と言い、結婚した相手とは離婚。娘は1人で育てました。自分がされたことは娘には絶対にしないと思いながらの子育てでした」
「父は10年前に亡くなりました。母は今、91歳です。アルツハイマー型認知症で、高齢者施設で暮らしています。マンションに2人で暮らし、介護をしていた時期もありますが、疲れきりました。私の心の奥底には、憎悪のマグマが堆積しているんです。4年ほど前、カウンセラーに相談すると、親のことを『嫌いでいい。距離を取ればいい』と言われ、救われました。距離ができた今は、親を許す気持ちもあり、最期をみとる覚悟でいます」
-同じように悩んでいる人に伝えたいことは?
「よく頑張ったね。好きなように、やりたいようにやってごらん、と言いたいです。それは、私が親に言ってほしかった言葉です。そして、親を憎むのはあなたが悪いからじゃない。自分を責めなくていい、と伝えたいです」
(聞き手・中島摩子)