ゲイカップルが他の人と話していると、よく聞かれる質問に「男役(もしくは女役)はどっち?」があります。そしてこのような質問をされたカップルは、不快な思いを抱くことが多いようです。ゲイカップルの何気ない日常を描いている漫画家のなかさんの作品『普段は、男役 or 女役?』では、この質問について描かれておりSNSで話題となっています。
ストーリーは、なかさんカップルと友人でお茶をしながら話している場面から始まります。友人が2人に「なかさんたちって普段はどっちが男役で、どっちが女役なんです?」と尋ねます。
なかさんたちは少し驚いた様子で顔を見合わせ、悩んでしまいます。そして少し考えて、なかさんは「自分たちは別に何かの役割を演じているつもりはなくて。お互いに男として男が好きというか、自分が女性になりたいわけではないので」と語ります。
この言葉に合わせるように、なかさんの彼氏も「家事とか料理とかなかさんがやってくれるけど、女役とは思ったことなくて、その......時々おっちょこちょいだけど男らしいとこもいっぱいあるし」と、しっかり自分の気持ちを伝えます。2人の話を聞いて友人は「そっか。つまり、なかさんが好きと。変なこと聞いちゃってごめんね」と明るく返すのでした。
読者からは「これ、結構誤解されてる部分ですよね」「おっしゃられてること激しく同感です」や「お友達さんの素直な理解の仕方が素晴らしいと思いました」など、多くのコメントがあがりました。海外の人からのコメントもあり、関心の高さが伺えます。そんな同作について、作者のなかさんに話を聞きました。
■男として男を好きになることをもっと普通に知ってもらいたい
ー今作を描くきっかけを教えてください。
ストレート(異性愛者)の知人との何気ない会話がきっかけでしたが、以前より、世間がゲイ男性に抱くイメージがトランスの方と混同しているなという戸惑いがありました。男として男を好きになることをもっと普通に知ってもらいたいと思いました。また家族が夫婦(男女)の役割分担によって成り立っているという固定観念が当てはまらない人達も、たくさんいることを描きたかったです。
ー作品を描く際に気にかけていることはありますか?
まずは読んで楽しいものを。日常の切り取り方や見せ方が、独りよがりにならないように心がけています。また、ゲイ男性やゲイカップルをテーマにしていますが、レズビアンやストレート女性の方が共感してくれることもあります。SNSに発信するのは、その他多くの人達の目に触れることにもなります。あまり間口が狭くならないようにと思っています。
ー作品を通して伝えたいメッセージを。
今作に限らずですが、気付かないだけで、身近にきっと同性カップルはたくさんいるはず。よく分からないことに対して、人は不信感を持ちやすいですね。同性カップルと言えども、男女のカップルと何も変わらない。私達の凡庸で、ちょっとクスッとできるエッセイ漫画を通して、同性カップルを身近に感じてもらえたらと、そんな思いがあります。
ー読者に一言お願いします!
皆さんがホッとできる、楽しんでもらえるものをこれからも頑張ります。
(海川 まこと/漫画収集家)