3日間の換気扇つけっぱなしはどれくらいの電気代になる? ※画像はイメージです(maroke/stock.adobe.com)
3日間の換気扇つけっぱなしはどれくらいの電気代になる? ※画像はイメージです(maroke/stock.adobe.com)

2泊3日の旅行に出かけていたDさん(30代主婦)一家。Dさんはヘトヘトになりながらも旅行の余韻を感じながら、帰宅しました。するとキッチンからブーン……と微かなモーター音。キッチンに近づいてみると、なんと換気扇が回りっぱなしだったのです。

「まさか、3日間ずっと?」と青ざめるDさんは、電気代の請求額を想像して胸をざわつかせます。最近は電気代の値上がりも続き、「数日でも家計に響くのでは」と不安になったのでした。換気扇に限らず、旅行や帰省のあとに「電気をつけっぱなしにしていた」「エアコンを切り忘れていた」という経験がある人もいるでしょう。

実際に、換気扇を3日間つけっぱなしにすると電気代はいくらかかるのでしょうか。ファイナンシャルプランナーの橋本さんに聞きました。

■“つけっぱなし”の電気代は小さいが積み上がる

ー家庭用キッチン換気扇の消費電力はどのくらいですか。

厳密には機種や機能によって消費電力は多少異なるのですが、一般的な「レンジフード型(シロッコファン)」の場合、大体4ワット~28.5ワットがおおまかな目安です。

ワット数に幅があるのは、換気扇の強さ(モード)によって変わるからです。弱モードだと少なく、強モードだと多くなると考えてください。

ーつけっぱなしにした場合、電気代はどのくらいになりますか。

電気料金単価を31円/kWhとして試算すると、弱モード(4ワット)の場合、1時間で約0.12円で、1日だと3円程度になります。一番強いモード(28.5ワット)の場合では、1時間で約0.88円、1日で21円程度です。

今回のケースでは3日間なので、9円から63円程度の電気代になると試算できます。

ー家計の視点では、つけっぱなしにしてしまったことをどう考えるべきでしょうか。

強モードだった場合は、ちょっともったいない気もしますが、家計に響くほどの影響はなかったと考えてよいのではないでしょうか。

一方で、これが何度も続いたり、他の電化製品もつけっぱなしにしていたとなると影響は無視できません。たとえば、換気扇を3日間つけっぱなしにすることを毎月繰り返すと、1年で700円を超えます。小さなムダでも、積み重なれば確実に家計に響くものです。省エネ意識は、こうした日常のうっかりを減らすことから始まります。

ー反対に、「つけっぱなしの方が良い」ケースはありますか?

2003年以降、新築住宅には建築基準法で24時間換気が義務付けられたため、キッチンにも常時換気機能を組み込む製品が普及しました。これはシックハウス症候群を防ぐために、家全体の空気を常時ゆるやかに入れ替える仕組みです。

そのため、お使いのキッチンの換気扇に常時換気ボタンが搭載されている場合は、つけっぱなしにしておくのが正しいです。24時間換気システム搭載の機種であれば、省エネ性能が高いケースが多いので安心していいかと思います。

ー外出時の“つけっぱなし”を防ぐ実用策を教えてください。

強モードで運転している時であれば音で気付くこともあると思いますが、弱モードの場合だと切り忘れに気づきにくいものです。そのため、外出前に「スイッチをオフにする」ことをルーティン化するのが最も確実な方法でしょう。冷蔵庫や玄関など、目につく場所に簡単なメモを貼っておくのも効果的です。

また、どうしても忘れてしまうといった場合、換気扇にタイマー機能を後付けすることも可能なので検討してみてはいかがでしょうか。小さな工夫でも、ムダな電気代を減らす意識づけにつながります。

◆橋本ひとみ(はしもと・ひとみ)
銀行勤務12年を経て、現在は複数企業の経理代行をおこなう。法人営業や富裕層向け資産運用コンサルティングの経験に加え、ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士の資格を持つ。

(まいどなニュース特約・八幡 康二)