戦後75年企画 沖縄戦描く映画「島守の塔」
太平洋戦争末期に沖縄県知事を務めた神戸市出身の島田叡(あきら)氏らを追悼する句会「島守忌(しまもりき)俳句大会」がこのほど行われ、高校生以下の部で兵庫高校(神戸市長田区)2年の米澤周奈(しゅうな)さん(16)と森岡愛弥華(あやか)さん(16)が1、2位に輝いた。同校は島田氏の母校で、昨年から沖縄への修学旅行の事前学習として取り組む。2人は「平和を強く願う沖縄で選んでいただき、光栄」と話した。(津谷治英)
沖縄は国内で唯一の地上戦に巻き込まれ、民間人を含む20万人以上が犠牲になった。島田元知事は沖縄戦で住民の生命保護に尽力し、今も「島守」と慕われる。
俳句大会は「島守忌」「島田忌」など追悼の季語を使った作品を公募し、2回目。同部には沖縄の高校生らを含む331人の応募があった。
最高賞の沖縄県知事賞に選ばれた米澤さんは「白鳩(はと)は 空の深きへ 島守忌」と詠んだ。中学の修学旅行で沖縄を訪ね、青い海と透き通る空が印象に残った。平和の象徴の白い鳩が、雲一つない青空の向こうへ、願いを伝えてくれることを17文字に託した。
入学後、島田氏について学ぶ機会が増え、沖縄への関心が高まったという。「俳句を通じ、私たちの平和への思いが伝わったことがうれしい」と話した。
第2席の糸満市長賞は、森岡さんの「島田忌や 静寂に脱ぐ 野球帽」。「自分の保身を考える人は多いが、島田さんは自分より周囲の命を大切にした。徳を感じる」。島田氏が野球部員だったことにちなんだが「偉大な先輩に敬意を表して脱帽する思いを込めた」と語った。
国語科の谷川静教諭(24)は、生徒の作品に「生きろ」という言葉が多かったことに注目。「教師として伝えないといけない言葉だが、生徒はしっかり考えてくれていた。意義があった」と振り返った。
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