戦後75年企画 沖縄戦描く映画「島守の塔」
太平洋戦争末期の沖縄戦を描き、命や平和の尊さを伝える映画「島守の塔」の製作委員会(神戸新聞社などで構成)は17日、住民と苦難を共にした沖縄最後の官選知事・島田叡=神戸市須磨区出身=役に萩原聖人さん、元沖縄県警察部長の荒井退造=宇都宮市出身=役に村上淳さんが決まった、と発表した。苛烈な日々を生き抜いた県職員として描かれる女性「比嘉凛」は、吉岡里帆さんと香川京子さんが演じる。25日に沖縄でクランクインする。
島田氏は旧制神戸二中(現兵庫高校)、東京帝国大を卒業して旧内務省に入り、1945年1月に沖縄に赴任。軍の協力要請を受け、住民を追い詰める方針に苦悩しながら、県民の生命を最優先に行政の指揮を執った。荒井氏は旧制宇都宮中(現宇都宮高校)、明治大などを卒業。警察要職を歴任して43年に沖縄に赴任し、県民の疎開を進めた。
映画「島守の塔」は、20万人以上の犠牲者を出したとされる沖縄戦で最後まで県職員と行動し、糸満市摩文仁付近で消息を絶った島田、荒井両氏が主役。次第に戦争に巻き込まれる比嘉凛ら県職員、県民の姿も通じ、悲惨な地上戦の実像に迫る。島田氏の前任の知事、泉守紀は神戸市垂水区出身の勝矢さんが演じる。
4月下旬に神戸市や兵庫県三田市での兵庫ロケを最後にクランクアップし、秋に兵庫、沖縄、栃木の3県でプレミア上映会などを開催する予定。来年夏から全国で順次公開する。製作委員会事務局TEL0800・800・8171
(小森準平)
【映画「島守の塔」】 戦後75年となる今年、島田叡(1901~45年)の出身地の神戸新聞社とサンテレビ、荒井退造(1900~45年)の出身地の下野新聞社、沖縄の琉球新報社と沖縄タイムス社などが連携して実現。製作委員長は沖縄県元副知事の嘉数昇明さんが務める。監督は「二宮金次郎」(2018年)の五十嵐匠さん、脚本は「武士の家計簿」(10年)の柏田道夫さんと五十嵐さん。
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