【躊躇せず 誰かを応援】
これが神戸? 違うやろ。テレビを見て、思わず叫びました。
あの日は古着の買い付けでアメリカのセントルイスにいました。ヘリコプターの映像が伝える震災の惨状が、自分の街とは思えなかったんです。けど、山の形で分かった。子どものころから見てきた六甲山やった。これが現実なんやと、がくぜんとしました。
帰国してみると、三宮の2店舗は全壊していました。途方に暮れていた時、力をくれたのがお客さんの存在。休業の張り紙に寄せ書きを残してくれたり、食料を置いてくれたり。あのやさしさがあったから、店をやり直そうと思えたんです。
それからの僕は、誰かを応援することに躊躇(ちゅうちょ)しなくなりました。米中枢同時テロの時も買い付けでシカゴにいて、空港で寝泊まりする旅行者に食料を配るボランティアをしました。再開した2店舗に加え、灘区ではチャリティー方式の古着店も始めました。売り上げの一部を動物保護団体などに寄付し、義援金と物資による東北支援も続けています。
人の役に立てば、自分の気持ちも豊かになる。ボランティアって幸せをもらえるんですよ。(三浦拓也)
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阪神・淡路大震災からの歩みを肖像写真で伝えるシリーズ「あゆむ」。今シリーズは、支援活動にかかわってきた人たちを紹介します。
2014/5/19語る伝える(3)淡路高校教師・藤井紫央里さん(33)2014/6/19
語る伝える(2)星空案内人・鷲尾正則さん(60)2014/6/18
語る伝える(1)大道芸人・ギリヤーク尼ケ崎さん(83)2014/6/18
寄り添い 支え合い(5)県歯科医師会会長・豊川輝久さん(73)2014/5/23
寄り添い 支え合い(4)災害復興住宅生活援助員・梅原加代さん2014/5/22
寄り添い 支え合い(3)週末ボランティア代表・東條健司さん2014/5/21
寄り添い 支え合い(2)子育て支援NPO副代表・高田佳代子さん2014/5/20
寄り添い 支え合い(1)古着店経営・山本敬敏さん2014/5/19