【夜空見上げ 亡き人思う】
地震の揺れがおさまった後、自宅を飛び出して眺めた神戸の空は、金星と月が異様なほどさえて見えました。その後も長い間、被災地の明かりは少なく、星がたくさん輝いていました。
ボランティアの星空観察会を神戸市内で始めて18年になります。今年の定年まで小学校の教師でした。地震の時は北区の学校に勤めていて、児童が無事でほっとしたのを覚えています。
その頃、忘れられない出来事がありました。長田のさら地で出会ったお年寄りが、空を眺めてつぶやくのを聞いたんです。「おばあさん、星になったんかなあ」って。
そのことがずっと胸の中にあり、来年の1月17日、星空に集う会を開くことになりました。人の命と星にまつわる伝説が、世界中にたくさんある。そんな話をしながら、はるかかなたから届く光を見つめるんです。星を通して犠牲者に鎮魂の思いを届ける。20年の節目でようやく実現します。
神戸は年々ネオンが増え、見える星の数は減りました。それは神戸が元気になってきた証しでもあります。でも、1月17日の夜は少し街の明かりを落として、星空を見上げる日であればと思うんです。
(中西大二)
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