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【教壇であの日と向き合う】

 もし教師にならなかったら、あの日のことを誰にも話さなかったかもしれない。今もそう思っています。

 魚屋を営んでいた祖父=当時(78)=は木造店舗の下敷きになり、病院へ搬送中に息を引き取りました。私は当時中学2年生でした。地震に遭うなんて考えたこともなかった。父母や兄が祖父を捜している間、余震におびえながら、飼い犬を抱いていたことしか覚えていません。

 震災を振り返る機会もなく、大学を出て保健体育の教師になりました。5年前に生まれ育った地元の高校に赴任。防災を担当することになり、最初の授業であの日のことを話しました。

 やさしかった祖父が梁(はり)の下敷きになり亡くなったこと、まちが様変わりして思い出が奪われたような気持ちになったこと。思いの丈を話すことで、初めて震災と向き合えた気がします。そして何より、自分自身が何一つできなかったことを悔しいと感じました。

 生徒たちには将来、地域の防災リーダーになってもらいたい。災害に対して無知だった私のような悔しい思いをしてほしくない。だから、これからも語り続けていくつもりです。(後藤亮平)

2014/6/19
 

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