16日の3回戦で敗れた灘は、初戦の県尼崎工戦で14安打を放つなど、打撃面でインパクトを残した。聞けば、ある元甲子園球児の赴任がきっかけだという。 明石商出身の福井雄太コーチ(23)。中森俊介(現ロッテ)や来田涼斗(現オリックス)らの同期で、2年生の夏に左翼手として聖地の土を踏んだ。恩師の狭間監督と同じ日体大を今春卒業し、灘の保健体育科教諭になった。 グラウンドが狭く、守備練習が中心だという灘。打撃練習では引っ張る選手が多かったが、「実戦を意識してセンター中心に」などと経験を踏まえて助言する。「あとは選手が試行錯誤して形にする。吸収力はすごい」と、選手たちの「頭脳」にもうなる。 チームは目標の夏3勝には届かなかったが、主将の豆田は「悩んでいた選手もライナーを飛ばせるようになった」と成長の手応えを語る。「明石商といつかは対戦できたらいいですよね」と福井コーチ。全国屈指の進学校のグラウンドで、母校の強豪に挑む日を思い描く。(山本 晃)