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冊子を作った洲本外町地域まちなか再生協議会の坂本昌文会長(左)とメンバーの山田宗宏さんが地元の思い出話をする=トーハチアトリエ
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冊子を作った洲本外町地域まちなか再生協議会の坂本昌文会長(左)とメンバーの山田宗宏さんが地元の思い出話をする=トーハチアトリエ

 兵庫県洲本市本町の商店街で案内冊子「そとまちコモンズ」をめくる。中身は店舗や商品のPRと一線を画す。

 ブティックの一角に、創作活動を楽しむ女性らが絵画や書道作品などを展示するためのギャラリーがある▽文房具店の販売棚の上に、客らが趣味で収集したレコード盤などを披露できるスペースがある▽かつてユースホステルとして利用されていた寺が、今も素泊まり3500円で合宿利用を受け入れている-。

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 冊子は今年6月、複数の商店街などでつくる「洲本外町(そとまち)地域まちなか再生協議会」が発行した。集会や展示会のために共有(シェア)できる場所(コモンズ)として14カ所を紹介。近隣の住民以外にも知ってほしいと訴える。

 「外町」とは、城下町・洲本でかつて外堀の外側だった地域を指す。戦後の高度成長期にかけ、島内の商業の中心地として栄えた。しかし、1965年に約7700人だった外町地域の人口は、2000年ごろを境に激減。15年に1760人まで減った。

 協議会は2018年、県や市の補助金を受けてできた。店主らのほか、地元住民や地域おこしに興味がある島外の大学生も加わり、月1回の寄り合いを持つ。

 昨年春からの新型コロナウイルス禍で、新たな集客行事は難しくなった。「今あるものをどう生かすか話し合い、長年住んだ地域の魅力を見つめ直した」と、協議会の会長で文房具店経営の坂本昌文さん(61)が冊子制作の経緯を語る。

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 地方の商業地の苦境が続き、空き店舗が目立つ商店街にコロナ禍が追い打ちをかける。

 そうした中、新しい活動に踏み出す人もいる。本町8丁目のギャラリー「トーハチアトリエ」のオーナー山田宗宏さん(63)は、東京で広告やグラフィックアートを手掛けてきたアートディレクターで、実家の薬局跡を改装した。

 冊子に、薬局の雰囲気を残した外観が載っている。ユニークな企画ができそうという。ギャラリー内には、協議会の試みの一環で卓球台が置いてある。子どもが気軽に訪れる場所を目指し、山田さんは「大学生らの視点も取り込み、少しずつ活気が出てきたように感じる」と話す。

 令和のにぎわいとは-。店主らは、さらに考えを巡らせる。(吉田みなみ)

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