手すき和紙作家の奥田好治さん(右端)と和紙を使ったアート作品の出品者=エスブリック
手すき和紙作家の奥田好治さん(右端)と和紙を使ったアート作品の出品者=エスブリック

 淡路島で生まれた手すき和紙からひらめきを得たアート作品の展覧会「淡路津名紙でつなぐ世界」が、洲本市塩屋1の複合施設「S BRICK(エスブリック)」で開かれている。手仕事のぬくもりと多彩な表現力が織りなす、約50点を楽しめる。(内田世紀)

■工房営む奥田さんが素材手がけ「柔軟な発想に驚くばかり」

 素材の和紙を手がけるのは、淡路市里で工房「松鹿(しょうろく)」を営む奥田好治(よしはる)さん(75)。「近代の機械製紙の普及で廃れてしまった淡路伝統の和紙を復活させたい」と30代後半で工房を立ち上げ、島に自生する植物コウゾを原料に和紙作りを続けている。

 今回の作品展は、その美しさに魅了された島内の書家や美術家らが企画。和紙の質感や風合いを生かした創作に取り組んだ。

 洲本市の書家つ花(か)セんさんは、和紙のしわで文字を立体的に浮かび上がらせた「気」「無」などの作品を展示。南あわじ市の染色アーティスト見灯(みとも)さんは、流木に草木染の和紙を貼った立体作品「天沼矛(あめのぬぼこ)」を飾る。

 洲本市の写真家石野慎一郎さんと切り絵作家真冬さん夫妻は、アートユニット「碧響(たまゆら)」として参加。繊細で色鮮やかな切り絵と写真が融合した作品を完成させた。

 奥田さん自身も、紫式部や清少納言をイメージした和紙の人形などを出品しており、妻の恵美さんら家族の絵手紙や写真も並ぶ。

 奥田さんは「和紙がこんな風に生まれ変わるなんて、柔軟な発想に驚くばかり。皆さんの力作を見てほしい」と話す。

 19日まで(14日休み)。午前10時~午後5時半。エスブリックTEL0799・24・0550