【上】車が行き交う中、傾き始めた橋桁【中】車が通過直後、西側が国道へ落下【下】衝撃で砂ぼこりが上がった=22日午後4時27分、神戸市北区道場町平田(ひまわりライフ北神戸店提供)
【上】車が行き交う中、傾き始めた橋桁【中】車が通過直後、西側が国道へ落下【下】衝撃で砂ぼこりが上がった=22日午後4時27分、神戸市北区道場町平田(ひまわりライフ北神戸店提供)

 神戸市北区の新名神高速道路の建設現場で橋桁が落下し、作業員10人が死傷した事故で、直前に橋桁が南方向へ傾き、大きく揺れだす様子が現場近くにある防犯カメラに記録されていた。橋桁の西側が国道上に崩れ落ちてきた瞬間も捉えている。

 カメラを設置していたのは、現場の北約100メートルにある住宅関連会社「ひまわりライフ北神戸店」。事務所入り口の外側に取り付け、南方向を撮影していた。画角の関係で橋桁全体は写っていないが、東側の様子はよく分かる。

 カメラの記録によると、異変が起きたのは22日午後4時27分40秒ごろ。突然、橋桁が南方向に傾き、裏面が見え始めた。間もなく波打つようにたわむと、東側がやや沈下。橋桁の揺れは一段と大きくなり、それまでは画面に入っていなかった西側が国道上に崩れ落ちてきた。

 この間、約6秒。西側では砂ぼこりが舞い上がり、別の鋼材が引きずられるように落ちてきた様子も確認できた。

 映像を見た神戸市立工業高等専門学校の酒造敏廣教授(橋梁工学)は「(建設現場で)想定していないことが起こったのだろう」と指摘。「調査をすれば必ず原因が分かる。現場がそのまま証拠になる」と話した。

 事故をめぐっては、橋桁の東側をつっていた専用設備北側の基礎部分が約2センチ沈下していたことが工事関係者への取材で判明している。

 さらに別の工事関係者によると、西側を支えていたジャッキの土台も東方向に傾き、従来の位置よりも約18センチずれていた可能性があることが26日、新たに分かった。事故当日の昼すぎには、このずれをめぐって現場の担当者らが対応を協議していたという。

 こうした状況が橋桁のバランスに影響を及ぼした可能性もあり、兵庫県警は現場検証などで確認を進める。

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 兵庫県警は26日、事故で死亡した2人のうち、男性(37)=大阪市此花区=の死因が、頭蓋骨の骨折による脳挫滅だったと明らかにした。もう1人の死者の男性(32)=伊丹市=は失血死だった。