神戸在住の画家、橋本薫さんが自身のフェイスブックに投稿した写真が話題です。ツーショットの相手は、メジャーのカブスで活躍するダルビッシュ有投手。場所はシカゴのスーパーマーケット。そこに偶然のドラマがありました。
7月31日から8月19日まで、アメリカの紀伊國屋書店シカゴ店で個展を開催した橋本さん。来場者の中には、現地の人気レストランの経営者夫妻の姿もありました。聞けば、レストランの常連客の中にダルビッシュ投手がいるとのこと。その日のうちにダルビッシュ夫妻の似顔絵を仕上げました。
「ダルビッシュ夫妻に直接お渡しできれば」と考えましたが、シカゴは人口270万人超の中西部最大の都市。現地で知り合ったアメリカ人から「ダルビッシュにはなかなか会えないよ」「シカゴに住んでいても会ったことない」と聞かされたため、レストラン経営者に似顔絵を託しました。
個展最終日の19日。書店スタッフへお礼のお菓子を買うため、会場の前にある日系スーパーに向かった橋本さん。「会期中、途中に出かけたのはこの時だけです」。
スーパーに足を踏み入れた瞬間、目の前に買い物かごを持った長身で体格のいい男性。なぜか、ダルビッシュ投手にそっくり。最初に思ったのは、「『会いたい、会いたい』と毎日思い過ぎていたせい」。
でも似ている。スマートフォンでダルビッシュ投手の顔写真を検索。ようやく本人に違いないと確信しましたが、肝心の似顔絵はレストラン経営者に渡してしまっています。橋本さんは個展会場に戻り、ダルビッシュ投手に似合う作品を選び、額を手に再びスーパーへ。駆け寄りました。
「すみません、今、向かいの紀伊國屋書店で個展をしている神戸の画家です。この絵をもらっていただけませんか」
突然の自己紹介と申し出に、ダルビッシュ投手は?
「驚いた様子を見せず『ありがとう』とほほ笑んでくれました」。似顔絵を用意していたこと、会うことはあきらめ行きつけのレストランに絵を預けたことなどを伝えました。時間にしてわずか数分の出会いでした。
日本に帰国した橋本さんのもとに翌々日レストランの経営者から連絡が。「ご来店されたので絵を渡しましたよ」。
「似顔絵の中に『喜』という漢字一文字を書きました。漢字の中にはひらがなで『ありがとう』の文字も隠れています。奥様がご出産が近いと知り、おめでとうの思いを込めました。赤ちゃんが生まれたときや誕生日のときにふと似顔絵を思い出してもらえたらうれしいです。それから…どこに飾ってもらえるのか気になります」
橋本さんの思いが届きますように。(ネクスト編集部 金井かおる)
■橋本薫さんの展覧会スケジュール
9月12~17日 さんちかホール(神戸市中央区)
9月20~29日 微風南山アトレ(台湾・台北市)
10月1~13日 紀伊國屋書店台北微風店(台湾・台北市)
11月11~25日 紀伊國屋書店ドバイ店(ドバイ)