26日午後、神戸市兵庫区の無職女性(89)が「老人ホームに入居する権利をめぐって詐欺に遭った」と兵庫署に届け出た。実在する大手の住宅メーカーやゼネコンの社員、弁護士らを名乗る男から電話があり、女性は計1320万円をだまし取られた。同署は詐欺事件として調べる。
同署によると、2月22日昼ごろ、女性宅に大手住宅メーカーの社員を名乗る男から「大手ゼネコンが老人ホームを展開している。入居しないか」と電話があった。女性が断ると、「入居する権利を他の人に譲ってほしい」と話したという。
女性は譲ることを承諾。すると後日、大手ゼネコンの弁護士を名乗る男から電話があり、「名義貸しは違法で刑事事件になる。親族にも迷惑がかかる」と告げた。その後も兵庫県警の警察官や金融庁職員を名乗る男から連絡があり、女性は指示されるまま3月に計2回、宅配便で指定された東京都内の住所へ現金計1320万円を送った。
大手住宅メーカー社員をかたった男は「事件が片付けば金は返す」とし、期日を4月21日に指定した。その期日になっても返金されず、男と連絡も取れなくなり、女性はだまされたと気付いたという。