昨年11月にオープンした神戸信用金庫の六甲支店で、優遇金利の定期預金のチラシを持つ井筒篤史次長=神戸市灘区桜口町4
昨年11月にオープンした神戸信用金庫の六甲支店で、優遇金利の定期預金のチラシを持つ井筒篤史次長=神戸市灘区桜口町4

 日銀がマイナス金利政策を解除して2年、「金利のある世界」が戻り、兵庫県内の地域金融機関が個人向けのサービスを競っている。店舗の営業時間を延長するなど、きめ細かな対応をアピールして預金者の獲得を図る一方、住宅ローンで月々の返済額が膨らむ不安に対し、固定型や最長50年の商品でつなぎ止めを図る。(大島光貴)

 「定期預金の相談が増えている。ゼロ金利のときはほぼなかった」。みなと銀行(神戸市中央区)の明石支店(明石市)で、樫原憲和支店長が変化を語る。JR・山陽の明石駅前にあり、昨年7月から営業時間を午後5時まで延ばした。

 同行の普通預金金利は0・3%、5年物定期預金の店頭表示金利は0・525%(27日時点)。いずれも、1999年に同行が発足して以来、最高の水準だ。

■接点拡大

 金融機関は、預金金利と貸出金利の差額で稼ぐ。金利上昇で収益拡大が見込まれ、原資となる預金の獲得に向けて顧客との接点拡大に懸命だ。マイナス金利下で店舗運営の効率化に苦心していた状況から転換した。

 みなと銀は、明石を含む県内10店舗で営業時間を延長した。さらに12店舗を増やす。これとは別に、口座開設や資産運用相談に特化して土日も営業する2店舗を、年内に神戸・阪神間の商業施設に新設する計画だ。

 神戸信用金庫(神戸市中央区)は、2024年7月に夙川支店・西宮法人営業部(西宮市)、昨年11月にJR六甲道駅南側に六甲支店(神戸市灘区)を新設した。六甲支店の井筒篤史次長は「オープン記念で始めた優遇金利の定期預金は、当初の募集額の20億円を超えた」と明かす。

 顧客の囲い込みへ、各金融機関はネット対応も急ぐ。みなと銀を傘下に持つりそなホールディングス(東京)は昨年1月、グループ銀行のスマホアプリを統一した。振り込みや口座開設がアプリ内で完結する。みなと銀の持丸秀樹社長は「対面と非対面の両面でお客さまのロイヤリティー(愛着)を高め、(長く預けてもらえて)しっかり残るような預金を集めたい」と話す。

 昨年9月にネット支店を開設した神戸信金は、店舗から遠い地域の住民や営業時間中の来店が難しい層へ利便性の向上を訴える。

■若い層に狙い

 住宅ローンでは、但陽信用金庫(加古川市)が昨年4月から、金利を1・2%に抑えた10年固定型を扱うキャンペーンをしてきた。

 今年2月までの住宅ローン貸出額104億円のうち、9割の93億円が10年固定型になった。以前は低金利の変動型が大半だったが、今後の上昇に備えて借り換える顧客もいるという。貸出残高は前年から33億円増え、大仲善英常務理事は「金利の懸念に応え、メインバンクとして使ってもらえる個人客を増やしたい」と話す。

 「複数の銀行に住宅ローンを申し込み、ぎりぎりまで金利を見極める人が増えている」。神戸・阪神間に30店舗と3カ所のローンプラザを置く池田泉州銀行(大阪市)の吉見講平リテール営業部長が説明する。

 金利負担に加えて住宅価格の上昇も続き、返済期間を長めに設定する人が増えてきたという。25年度の貸出額のうち、35年超が6割、40年超が3割を占めた。最長50年の商品も強みといい、長期ローンが組める若い層の獲得に力を注ぐ。

 みなと銀でも、35年を超えるローンの貸出額が年々増え、25年度(1月まで)は41%に上る。三宮住宅ローンプラザの前中克俊プラザ長は「毎月の支払い負担を軽減したいとの声が圧倒的に多い」と話す。

 借入総額が膨らむ中、夫婦などが別々に借りるペアローンの利用が増えているという。同行は、どちらかが死亡やがんなどで返済困難になった場合、もう1人のローン残高もゼロになる団体信用生命保険の取り扱いを今月に開始。リスクの軽減を売り込む。