国宝に指定される見通しとなった箱木家住宅主屋=神戸市北区山田町衝原(撮影・斎藤雅志)
国宝に指定される見通しとなった箱木家住宅主屋=神戸市北区山田町衝原(撮影・斎藤雅志)

 国の文化審議会は22日、室町時代の14世紀ごろに建てられ、神戸市北区に現存する国内最古の民家「箱木家住宅主屋」と、兵庫県姫路市安富町に残る15世紀建築の民家「旧古井家住宅」の2件を国宝に指定するよう、松本洋平文部科学相に答申した。「深い文化的意義を有する」として評価された。民家の国宝指定は全国で初めて。同県内で建造物が国宝に指定されるのは、1955(昭和30)年の太山寺本堂(神戸市西区)以来、71年ぶり。

 箱木家住宅主屋は神戸市北区のつくはら湖東岸にあり、入り母屋造りでかやぶき屋根の構造。不規則な柱の配置などから14世紀ごろの建築とされる。

 箱木家は中世期、同市北区の山田地区に根付いた有力者で、祭祀組織「宮座」で世話人の「下頭屋」を務めた。住宅は昭和50年代、呑吐ダムの建設に伴い約70メートル南東の現在地に移築され、約7メートルかさ上げされた。現在も同家が所有する。

 旧古井家住宅は姫路市北西部の山間部に位置し、中世期に有力農民だった古井家の居宅だった。

 箱木家と同様、入り母屋造り、かやぶき屋根の民家で、上屋主要部の柱や梁は建築当初のものとされる。現在まで同じ場所にある。

 1999年に旧安富町が買い取り、市町合併で2006年から姫路市が所有。現在は地元住民による管理組合が管理する。「無災の千年家」とも称され、過去に近隣で火災が2回起きたが、いずれも焼失を逃れたと伝わる。

 両住宅とも軒が低く開口部が少ない造りで、閉鎖的で重厚な中世民家の特徴を持つ。1967(昭和42)年、国の重要文化財に指定された。

 兵庫県内の建造物の国宝指定は、51(昭和26)年の姫路城の大天守など5件8棟が最初。その後、一乗寺三重塔=加西市▽鶴林寺太子堂、本堂=加古川市▽浄土寺浄土堂(阿弥陀堂)=小野市▽朝光寺本堂=加東市▽太山寺本堂=神戸市西区-が指定され、今回の2件2棟で13件16棟となる。

 また文化審議会は、豊かな題材の彫刻が施された氷川神社本殿(埼玉県川越市)や、2024年の能登半島地震で被災した「禄剛埼灯台」(石川県珠洲市)など建造物6件を重要文化財に指定、松江市美保関を重要伝統的建造物群保存地区に選定するよう答申した。

 いずれも答申通り指定・選定される見通し。国宝・重要文化財(建造物)は2611件、5612棟(うち国宝は235件、305棟)、保存地区は130になる。(久保田麻依子、有島弘記)