兵庫県西宮市は、70歳以上の高齢者に年間5千円分の交通費を助成する「高齢者交通助成事業」を本年度で終了する。財政が悪化する中で対象者が増え、事業に協力する鉄道会社が撤退を申し出たことなどから、継続が難しくなったという。市は高齢者の社会参加を促し、健康を維持してもらうための3事業を新たに打ち出す方針を固めた。(中川 恵)
「高齢者交通助成事業」は1991年度に始まった。当時の対象者は約2万8600人だったが、2002年度に約4万5400人、本年度は約8万9900人にまで増えた。予算は約3億2千万円で、8割が電車、残り1割がバス、1割がタクシーで利用されている。
電車の場合、19年度まではICカードへチャージする際の半額を市が助成してきた(年間上限5千円)。しかし、年度初めに各社の窓口に高齢者が殺到し、説明にも時間がかかることなどから鉄道会社が撤退を申し出た。市議会からも「ICカードは鉄道以外にも使えるので費用対効果が見えづらい」「利用者が増え、事業は持続できるのか」との声が上がり、20年度末で終了することになった。
これに代わる事業として、市は健康増進やフレイル(虚弱)予防のために「(仮称)健康ポイント事業」を導入する。歩いた歩数に応じて年間3千円を上限とするポイントを付与し、景品と交換できるようにする。9月の補正予算で債務負担行為を設定し、プロポーザル方式で事業者を選定中。早ければ来年10月に事業を始める。
ウオーキングが難しい中重度の要介護者に向けては「福祉タクシー派遣事業」を拡充する。これまでの制度で目的の制限なく初乗り料金を市が助成してきたのを、利用料の一定額を助成する「定額制」に改め、要介護「4」と「5」に加えて「3」までを対象とする。併せて、同事業の対象である在宅障害者・障害児についても定額制助成に変更する。
公共交通が不便な地域の外出支援策には「高齢者バス運賃助成事業」を新設する。仕組みは従来の助成事業と同じく、年間5千円を上限とし、バス会社の対象商品を購入・チャージする際に半額を補助する。
「福祉タクシー-」と「高齢者バス-」は21年度当初予算案に事業費を計上する予定(一部事業費は12月補正予算案にも計上済み)。市の担当者は「持続可能な範囲で幅広くカバーした事業展開を考えた」としている。
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