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関西を中心に活動するサウンドパフォーマー。西宮市や神戸市内のイベントなどに出演し、休日には無償の路上パフォーマンスなども行う=西宮市甲子園町七番町
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関西を中心に活動するサウンドパフォーマー。西宮市や神戸市内のイベントなどに出演し、休日には無償の路上パフォーマンスなども行う=西宮市甲子園町七番町

■すれ違う人を一瞬で笑顔に

 植え込みをなでると「ブー」。おもむろにおもちゃのはさみを取り出し、切るような動きをすると「チョキチョキ」と音が鳴る。再び手で触ると「キラーン」。きれいになったようだ。動きに合わせ、専用の機材で効果音を出す「サウンドアクト」。街中で1人だけ、アニメの世界にいる様だ。新型コロナウイルス禍でイベント出演が減ったが、無償の路上パフォーマンスを続ける。「笑顔が報酬。人とのつながりが一番大切です」と道行く人を楽しませる。

 兵庫県西宮市出身で、幼い頃から大のディズニー好き。学校生活が退屈だった高校2年の時、ディズニーランドのパフォーマーに魅せられた。「半ば勢いで決めた」と、親の反対を押し切って中退し、パフォーマーとして生きることを決めた。

 生活費と活動資金のためテーマパークでアルバイトとして働き、人とふれ合う仕事の楽しさを実感。サウンドアクトの技術を学ぶため、神奈川県にある専門の事務所に連絡し、翌日には新幹線に飛び乗った。関西で活動しているのは3人だけと聞き「絶対に売れる」と確信した。

 2019年の夏。毎日、JR神戸駅周辺で練習を重ねた。動きに音を合わせるのが難しく、失敗の連続。白い目で見られることもあったが、面白がった人たちがSNSで動画を拡散し、仕事につながったこともある。「人とのつながりに助けられた」と振り返る。

 徐々に仕事が増え始めた時、コロナ禍に巻き込まれた。出演予定のイベントはことごとく中止。それでも路上で活動を続け、相手に触れず、すれ違いざまの一瞬で笑顔にできる演目を試行錯誤している。

 周りからは無駄な時間だと言われることも多いというが、「全てがプラスになっていて、人とのつながりを生んでいる」と話すと「ピンポーン」と音を鳴らして笑った。21歳。(村上貴浩)

【メモ】名前の由来は、本名を携帯に打ち込む時に間違えて「ユール」と出たことがきっかけ。妙に頭から離れず、憧れのパフォーマーが名乗っている「魔法使い」と合体させたという。「これもほとんど勢い任せです」と笑う。

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