2日は半夏生(はんげしょう)の日。旬のタコを食べる関西の風習にちなみ、阪神総局でもたこ焼きを作ることになった。
楽しみにしながら、取材帰りに兵庫県宝塚市内を歩いていると、あれ? 公園の真ん中に、高さ3メートルを超す巨大なタコがいる。足が滑り台や階段状になった遊具だ。
これは珍しいと思ってネットで検索すると、なんと阪神間の公園にはいっぱいのタコ形遊具が!! ここ「鶴の荘公園」をはじめ、伊丹市の尼ケ池公園、川西市のタコ公園、尼崎市の潮江公園、法界寺公園…。少なくとも4市で“5匹”も。
なぜこんなに多いのか。宝塚市に聞くと、鶴の荘公園ができたのは50年以上前で、詳しい経緯は不明という。ただ、担当者が教えてくれた。「裁判もありましたよね。鶴の荘公園がそうなのかは分かりませんが…」
裁判とは、東京のデザイン会社が1970年代に開発したタコ遊具とよく似たものを都内に2台作られたとして、著作権侵害を訴えた訴訟。今年4月、東京地裁がタコは遊具としての機能であり「著作物として保護されるべき美術品とは認められない」と、原告の訴えを退けたばかりだ。
このデザイン会社のものが阪神間にいくつあるかは分からないけど、タコ形遊具は全国に“生息”しているらしい。確かに曲がりくねった滑り台や空洞は遊び心をくすぐるし、エイリアンのような不思議な見た目は、どこか親しみやすい。
ちなみに明石市の松江公園にもあり、親ダコ1匹の滑り台と子ダコ2匹のモニュメントが置かれる。子ダコ1匹の地中には細い管が通っていて、離れた親ダコにいる人と会話が楽しめるという。「他市とは違うものを考えた」と市の担当者。さすがは“本場”だ。
半夏生のころにタコを食べる風習には、稲の根が「タコの足のようにしっかり大地に張ってほしい」と願う意味があるらしい。
そうこうしながら帰社すると、先輩記者がたこ焼き器の前で調理中。「半夏生にタコのネタがあります」と伝えると、一喝された。
「読者に食べてもらえるのは1日遅れやないか」
結果的に掲載は2日遅れに…。地域に根差し、旬を先取りできる記者に早くなりたい。(浮田志保)