兵庫県西宮市の酒造会社「辰馬本家酒造」が22日の「ネコの日」を記念して造った清酒の瓶詰め「黒松白鹿 ネコダスケ」が注目を集めている。イラストレーターのオキエイコさんがラベルを描き、売り上げの一部を野良猫の保護活動にあてる。4日にオンライン予約を受け付けると即日で完売する人気ぶりだ。18日から直営店の「白鹿クラシックス」(鞍掛町)で販売する。(浮田志保)
製造は「222本」限定、税込み「2222円」というニャンニャンづくめ。チラシには小さく「ニャンコは飲めません。ごめんにゃさい」と書きつつ、商品コンセプトをこう記す。
「呑めて、飾れて、寄付もできちゃう! 知らない間に猫を守れちゃうお酒」
オキエイコさんはラベルを柔らかい色使いで描き「商品を通し人の輪や助け合いの輪が広がってほしいとの思いを込めた」と話す。
自身も保護猫2匹を飼い、野良猫問題は殺処分だけでなく、保護という選択肢があることを知ってもらおうと書籍も出版している。
「お部屋に飾っても楽しめるようなネコたちを書き下ろしました。お酒好きな方も普段飲まない方も、お手に取っていただけたらうれしいです」
考案した商品部広報担当の田中美紗さんに開発秘話を聞いた。
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-相当な猫好き?
「幼い頃から猫を飼っていて、身近にいることは当たり前だったんです。そんな中、5年ほど前から保護猫に関心を持ち始めて今回の企画につながりました」
「きっかけは神戸のNPO法人が開いた『街に生きる地域ネコ写真展』です。法人メンバーが野良猫の不妊去勢手術をしたり、元々いた場所に戻した後もトイレや食事の世話を献身的に続けたりする活動が紹介されていました」
「なんだか人ごとに思えなかったんですね。そこで、保護猫のボランティア団体に顔を出し、実際に譲渡会に参加して保護猫3匹を飼うことにしました」
「ただ、個人でできることは限られています。それなら企業として何かできないかって考えました。昨年4月ごろ、会社に今回の企画を提案すると手応えがありました」
-西宮市は「人と動物が共生できるまちづくり」を掲げ、保護や譲渡がスムーズにできるよう、ふるさと納税を活用した動物愛護基金を設けている。
「そう。そこで市が目指す『実質的殺処分ゼロ』に貢献しようと、商品の売り上げから1本につき222円を市の基金に寄付することにしたんです。オキエイコさんにデザインをお願いすると、二つ返事で快諾してくれました」
-味わいは?
「兵庫県産の山田錦を100%使い、すっきりとした中に、米が持つうま味とコクをしっかりと感じられるよう仕上がりました」
「うちの猫3匹には『ネコダスケが売れて、あなたたちのように幸せになる猫が増えたらいいね』って話しかけています」
同社商品部広報担当TEL0798・32・2812