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 住みたい街ナンバーワンのまちは、待機児童数も全国1位だった。厚生労働省の昨年の発表によると、兵庫県西宮市の待機児童数は全自治体で最も多い182人。市はこれまでも保育所整備に力を入れてきたが、追いついてないのが現状。背景には教育熱の高い地域の歴史も関係しているようだ。(土井秀人)

 大東建託(東京)が発表した「住みたい街ランキング2021関西版」では自治体別で西宮市が1位、駅別でも阪急西宮北口が1位となった。大阪や神戸へのアクセスの良さや落ち着いた住環境などが評価された。

 ブランド力があり子育て世代にも人気の街だが、待機児童数も多い。「文教住宅都市として発展し、元々は保育所より幼稚園志向の高い街だった」と市の担当者。2019年度の幼稚園の利用割合は30・8%で、中核市平均の20・4%を上回る。幼稚園数は県内では神戸市に次いで多い。

 一方、共働き家庭の増加とともに保育需要の高まりが続く。専業主婦の多かった邸宅街の「夙川エリア」でも、屋敷跡地にマンションや一戸建てが建ち、保育所を利用する若い子育て世代が増えた。

 待機児童ランキングでも上位の常連となっており、西宮市もあの手この手で保育所整備を進めてきた。国家戦略特区を活用して公園内に誘致したり、廃校の跡地に大規模施設を整備したり。定員は9年間で約3千人増やしたが、まだまだ足りない。昨年8月の厚労省の発表に市の担当者は「まさかワーストとは。待っている人に申し訳ない。解消に向けて今後も整備を続けていく」とした。

■兵庫の自治体が上位独占

 西宮市1位、明石市2位、尼崎市4位、姫路市5位-。厚生労働省が発表した待機児童数(2021年4月1日時点)は、県内の自治体が上位を占めた。だが、いわゆる「隠れ待機児童」の数に目を向けると様相は一変する。

 全国的な傾向として待機児童は減っており、21年は過去最少となる5634人だった。上位に挙がった県内の4市も20年より減少している。

 一方で認可保育所などを希望したが入れなかった児童は、8万6095人(待機児童を含む)と15倍にもなる。この差は「待機児童」の定義から生まれる。厚労省は「特定の施設を希望」「求職活動を休止」などは待機児童から除外している。認可保育所を希望したが入れず、企業主導型保育を利用しているケースなどもカウントしていない。

 この数で見ると、全国1位は横浜市の2842人。西宮市は1034人で10位だった。待機児童は11人と少なかった神戸市も1027人で11位となり、尼崎市906人(13位)▽姫路市584人(23位)▽明石市546人(28位)-などが続いた。

 さらに待機児童から除外されている「特定の施設を希望」については、自治体ごとに解釈が異なる。厚労省は「立地条件が登園するのに無理がない」施設に空きがあっても利用しない場合などが当たるとする。無理のない例として「通常の交通手段で自宅から20~30分未満」などを挙げ、地理的要因などを踏まえて自治体が判断している。

 西宮市のケースを取材すると、「総合的に判断するが、平地であれば自転車で20~30分未満は通える距離」とした。

 一方で尼崎市は「希望する園が3カ所以下」を基準とした。「自宅から徒歩10分、自転車5分圏内」と想定した場合、市内で最も保育所の少ない地域の施設数が4カ所だったため決めたという。国の例示より厳しい運用といえるが、市の担当者は「統計上の数を減らすのではなく、実態をきちんと把握して対策をしていきたい」とする。

 明石市も同様の理由で「希望を1施設、または近隣の2施設のみを書いている場合」とした。神戸市は「目安は家から2キロ圏内。ただ、車の利用者の多い地域は3キロとするなど特性に合わせている」とする。

 「きょうだいを別々の園に送るのは困難」「自転車で30分の距離に預けるのは現実的ではない」と入所を諦める人がいるが、待機児童には数えられていない。実態に即した対策が求められている。(土井秀人)

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