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コロナ禍以降の子育て支援のあり方について語る蔵原亜紀さん=川西市栄町
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コロナ禍以降の子育て支援のあり方について語る蔵原亜紀さん=川西市栄町

 新型コロナウイルス禍になって家庭や家族関係にストレスのある親が増えた-。兵庫県川西市のNPO法人「育ちあいサポートブーケ」の調査で、地域の子育て支援者の7割近くがそう認識していることが分かった。外出自粛や交流制限で孤立する親子は多く、子どもの遊び友達がいなかったり、発達が気になったりと特有の悩みも浮かび上がった。(久保田麻依子)

 調査は昨年9~11月、県内の市町が設ける子育て支援拠点とその職員のほか、乳児家庭に訪問面談する「訪問員」から回答を得た。

 コロナ禍での親の変化を尋ねると「家庭・家族関係にストレスのある親が増えた」が65%と最多。「感染対策で他の親子と距離を取っている親が増えた」が44・7%▽「孤立している親が増えた」が42・3%-と続いた。

 自由記述では「『運動発達が遅い、言葉が出ない』の相談が増えた」「コロナ禍で親子1組当たりの健診時間が短くなり、発達がつかみにくい」などの声も。

 113カ所の子育て支援拠点では実際に利用者も少なくなり、2020年度に開室した日数は18年度に比べて半分近く減っていた。

 一方で、0~3歳児を育てる保護者を対象にアンケートも実施。神戸新聞の子育てサイト「すきっぷ」などを通じて447人の回答があった。

 コロナ禍の過ごし方では「なるべく外出を控えて自宅で過ごしている」が62%と最も多く、続いて「同居家族以外の人と会ったり遊んだりしない」が50%に。孤立する状態がうかがえる中、日頃の悩みには「近所に子どもの遊び友だちがいない」「仕事や自分のやりたいことが十分にできない」などが目立った。

 前向きになれた出来事は「支援施設のスタッフやイベント」が23%、「親同士の交流」が18%と続いた。

 報告書は、「ブーケ」ホームページで公開している。

     ◇     ◇

■SOSつかみにいく支援が必要/NPO法人「ブーケ」蔵原亜紀代表理事

 「保護者らが孤立感を抱えながら子育てに奮闘していることが分かった」。NPO法人「育ちあいサポートブーケ」の蔵原亜紀代表理事(55)はそう語る。

 子育てが一段落した2003年から、市の嘱託職員として子育て広場の運営や相談員を経験した。その後、仲間数人と法人を立ち上げ、市が受託する「子育て支援ルーム」を運営する。

 20年春の緊急事態宣言で支援ルームを休業し「親の困り事や孤立感を知るすべがなく、支援方法も分からずに途方に暮れた」と振り返る。感染対策を徹底して再開すると「ハイハイが上手になる月齢なのに抱っこの時間が長いなど、発達に合わせた赤ちゃんの扱い方に慣れていない親が多いと感じた」という。

 そこで保護者らにアンケートをすると「ただでさえ不安が多い乳幼児の子育て期に感染への恐れも加わり、大きな緊張感やストレスが伝わってきた」と語る。

 子育ての悩みを語り合う「場」を提供するだけでなく、支援者の側から「SOSを拾いにいく」ことの意義も感じた。アンケートでは実際に自治体の赤ちゃん訪問事業を受けた保護者の6割が「すべての母子に必要な制度だ」と答え、オンライン対応を希望したのは5%に満たなかった。

 今、出産前からのコミュニティーづくりや父親の育児イベントの充実も目指している。蔵原さんは「孤立する人を出さないよう、支援のネットワークを点在させたい」と期待を込めた。(久保田麻依子)

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