兵庫県のJR伊丹駅と阪急伊丹駅の間にある酒蔵通りで、変わった形の車止めが目に留まった。円柱の石で上部がえぐれている。小学生の頃、リコーダークラブに所属していた筆者には、リコーダーの吹き口にしか見えない。
阪神総局・北摂総局のツイッターに上げると「腰掛けか経費削減」「上に乗る、座るの防止策」「竹では? 昔は水や酒を入れていたと聞きます」とのコメントが寄せられた。
伊丹市都市計画課によれば、周辺の再開発整備は約20年前に終わり、詳しい資料はないようだが、担当者は「酒おけを模したものだと聞いています」。
いったい、どんなおけなのか。市立伊丹ミュージアム(宮ノ前2)に問い合わせてみた。「形から察するに、『カキ桶(おけ)』ではないでしょうか」。旧市立博物館のパンフレットには、酒米を蒸す工程で「米をカキ桶でかき出し、タメ桶で運んでコシキに入れる」とある。写真でも、確かに円柱形で一部がえぐれたような形をしている。カキ桶は木製で、戦後、金属製に代わったという。
はっきりとは分からなかったが、「清酒発祥の地」として知られる伊丹の車止めが、酒造りにちなんだ形をしていることだけは確かなようだ。当然と言えば当然か。「リコーダーにしか見えませんよね」とは言えなかった。(中川 恵)