サッカー日本代表のワールドカップ(W杯)は、前回準優勝のクロアチアにPK戦で屈して幕を閉じたが、尼崎市出身の堂安律選手(24)に対し、地元からはねぎらいの声が相次いだ。
「負けたけど、チーム一丸となって挑んだ大会だった。ここまで引っ張ってくれた存在は大きい。尼崎の誇りだ」。6日未明、同市武庫之荘1のバー「バカラ」で開かれたテレビ応援会。店主の男性(39)は試合後、地元のスターを晴れ晴れしくたたえた。
常連客ら6人と見守り、前半に堂安選手のクロスボールから前田大然選手(25)が先制ゴールを入れると、店内の熱気は頂点に達した。敗退決定の瞬間には顔を手で覆って悔しがったが、すぐさま堂安選手の活躍を振り返り「よくやった!」と全員で声をそろえた。
一方、堂安選手がサッカー用品やタンスを寄付している児童養護施設「子供の家」(同市若王寺3)の東谷聡美施設長(58)は感謝の思いを隠さない。
「スペイン戦の後、子どもたちは大盛り上がり。果敢に攻める姿勢を示してくれて勇気を与えてくれた」
そんな人柄について、杭瀬地域まちなか再生協議会の宮崎健一会長(47)は「試合では勝負師のイメージだが、普段は誰とでも分け隔てなく接する心優しい青年」と話す。昨年から尼崎で「DOAN CUP」を開き、コロナ禍で試合をできないサッカー少年らを応援するなど、地元での活動をもっと全国に知ってほしいとした。
堂安選手が小学生の頃から通うホルモン鍋店「やすもり」(同市神田中通3)の従業員男性(55)は「ドイツ、スペイン戦で先制されても諦めず勝利に貢献した救世主」とたたえ、次の来店を心待ちにしていると声を弾ませた。
尼崎市の松本真市長は「今大会での堂安選手の活躍に、子どもを含め多くの市民が大いに力づけられた。市民を代表し感謝を申し上げる。今後もますますの活躍を期待しています」とコメントした。(池田大介、浮田志保、広畑千春)