神戸市立医療センター中央市民病院が新型コロナウイルス感染症の患者を初めて受け入れたのは、2020年3月3日。40代の男性が9階西病棟、通称「9西」に入院した。主に軽症患者が入る病棟だ。
コロナの重症患者が増えるに従い、主戦場は救命救急センターに移った。病床は心臓疾患集中治療室(CCU)の6床を使い、満床時は救急集中治療室(EICU)の8床も使った。
「コロナの重症肺炎患者は苦しそうに見えない。でも、血中の酸素濃度を測るとこんなに低いのかと驚く」。救命救急センター・救急科医長、瀬尾龍太郎(45)は振り返る。
「息をいっぱい吸おうとするのも特徴」と瀬尾。肺を痛めてしまうため、普段は鎮静剤などで眠らせる。覚醒時は強い不安のためか興奮状態に陥りやすい。