定例会見で記者の質問に答える斎藤元彦県知事=23日午後、神戸市中央区、兵庫県庁(撮影・笠原次郎)
定例会見で記者の質問に答える斎藤元彦県知事=23日午後、神戸市中央区、兵庫県庁(撮影・笠原次郎)

 兵庫県は25日、告発文書問題で県の第三者調査特別委員会が斎藤元彦知事のパワハラを認定したことなどを受けて、斎藤知事のほか、副知事、部長・次長級の幹部職員約200人を対象にした研修を5月12日に実施すると発表した。

 知事らへのハラスメント研修の必要性は、昨年10月に県の人事委員会が言及。さらに同年12月に公表された公益通報委員会の是正措置要請のほか、パワハラを認定した第三者委や県議会調査特別委員会(百条委員会)も指摘していたが、斎藤知事は受講できていなかった。

 研修のテーマは、怒りをコントロールするアンガーマネジメントを生かした冷静な部下の指導方法などの「組織マネジメント力向上」と「公益通報者保護制度」「個人情報保護制度」の三つ。講師は、外部の専門家や大学教授に依頼する。

 第三者委は告発文書が外部公益通報で、県の対応は公益通報者保護法に照らして「違法」と判断したが、斎藤知事は「適切だった」と受け入れない姿勢を示している。知事はまた、告発者の保護などを定めた同法の体制整備義務の法解釈についても「内部通報に限定される考え方もある」として、同法を所管する消費者庁と異なる主張をしている。

 5月の県の研修で公益通報制度の講師を務める淑徳大の日野勝吾教授は取材に「民間事業者の他、行政機関も同法の趣旨や目的に基づいた対応が求められる。事業者として、公益通報者の特定や探索を禁止することの重要性を理解する必要がある」と話す。(前川茂之)