大阪・関西万博に伴い、兵庫県が設けた関連拠点の集客に明暗が分かれている。万博会場(大阪市此花区・夢洲)内の「兵庫県ゾーン」は連日にぎわうが、兵庫の魅力を発信する「ひょうごエキスポターミナル」(神戸市中央区)など県内拠点の人出は伸び悩む。会期は折り返しを過ぎ、残り3カ月弱。かき入れ時の夏休みに入り、県は巻き返しへ向けた取り組みを強化している。(岩崎昂志)
「混雑する万博会場に比べゆったり楽しめて気に入った」
今月下旬、家族でエキスポターミナルを訪れた神戸市灘区の学校法人職員の男性(43)は笑顔を見せた。
整備費約2億円を投じたエキスポターミナルは県立美術館のギャラリー棟3階にあり、デジタルアートや但馬牛の組み立てパズル、丹波焼のすごろくなどで兵庫の魅力を伝える。夏休み前には県の南北に広がる海の生き物を学ぶ釣りゲームや、播州織のアート作品などが追加された。
県によると、6月末までの来場者数は1日平均360人。家族連れのほか、万博の公式スタンプ目当ての人も訪れている。ただ、県が掲げた「会期中に60万人」には1日3600人以上が必要となる計算で、現状は遠く及ばない。
一方、連日10万人以上が訪れる万博会場のにぎわいを受け、現地の関西パビリオン内にある兵庫県ゾーンも来場者が1日平均2500人と好調。県目標の「半年で40万人」を上回るペースで、県は「両方を合わせて100万人に近づければ。夏休みが勝負だ」とする。
エキスポターミナルは入場無料。26日~8月31日には、来場した小学生以下の子ども向けに万博の入場チケット(1日券)を配布し、集客を狙う。毎日100人が対象で、超えた場合は抽選(1家族4枚まで)。今月31日には万博の公式キャラクター「ミャクミャク」や、兵庫県の「はばタン」と記念撮影ができる催しが3回あり、同日午前10時から各回先着30組で整理券を配る。
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マイカーなどを止め、万博行きのシャトルバスに乗り換える尼崎市船出の万博P&R(パーク・アンド・ライド)駐車場。県は隣接地にイベント会場「ひょうご楽市楽座」を設け、毎週土日の午後4~9時に催す。県内各地のグルメや音楽などでナイトマーケットを演出し、シャトルバスから降りてきた万博帰りの客などを呼び込む狙いだ。
6月下旬に立ち寄った神戸市兵庫区の男性会社員(47)は「広い万博会場で歩き疲れたが、楽市楽座は値段も手頃に楽しめそう」と飲食ブースなどを眺めた。
ただ、P&R駐車場利用率が低迷し、現在、楽市楽座の1日当たり来場数は関係者を含め約1500人。開催日や時間帯によっては人影がまばらな状態が目立つほどだ。県は「1日2千人を超えたいが、届いていない。P&R駐車場の利用が伸びないと厳しい」と焦りを隠さない。
楽市楽座は、県が会場整備や運営費で2024、25年度に事業費約5億4千万円を投じている。集客を図ろうと、岡山や鳥取、広島などの近隣県にパンフレットを配るなどPRを強化。8月2、3日には会場周辺で空飛ぶクルマのデモフライトイベントを企画する。
兵庫県は「万博の会期後半は来場者が増える見込みで、なんとか楽市楽座の客足を伸ばしたい」とする。