水門を開くと、勢いよく水が流れ出す=宍粟市波賀町日ノ原、引原ダム
水門を開くと、勢いよく水が流れ出す=宍粟市波賀町日ノ原、引原ダム

 近年、激甚化する水害から住民を守ろうと、兵庫県内のダムで対策が進んでいる。県は豪雨に備えて水位を下げる「事前放流」に全国でも早くから取り組み、昨年に雨量や水位を予測するシステムを更新。人工知能(AI)の活用も始めた。ダムの構造自体の改良にも着手し、水門操作の担当者が代わっても適切に対応できる仕組みづくりを急ぐ。(喜田美咲)

 「事前放流がなければ浸水していたかもしれない」。県光都土木事務所(上郡町光都)ダム管理課の担当者が、2018年7月の西日本豪雨の状況を振り返る。同町内の民家のすぐそばまで濁流が迫っていた。

 当時、揖保川水系の上流にある引原ダム(宍粟市波賀町)では、雨が小康状態になったタイミングで2度の事前放流を実施。これにより緊急放流は、ダムへの流入量が過去最大の毎秒285トンに達したピーク時から7時間後、下流の水位が下がったタイミングでできた。