温暖化が進んでビールのロング缶(500ミリリットル)が800円を超える時代が来るかもしれない。大雨や猛暑で大麦やホップの収穫量が減り、原料調達費が大幅に上がる恐れがあるためだ。ビール大手各社が品種や生産技術を改良する取り組みを活発化させている。
「こちらが雨に強い新品種です」。7月、サッポロビールの木原誠研究員は北海道上富良野町の畑で、青々と育った大麦をアピールした。9年がかりで昨年、開発にこぎ着けた。原料として使えなくなる「穂発芽」の発生リスクを従来の7分の1に抑えたのが特徴だ。
今月12日には、キリンホールディングスが涼しい気候を好むホップの栽培で、暑さや乾燥に強い性質を持たせる新技術を確立したと発表した。
アサヒグループホールディングスはチェコで、米IT大手マイクロソフトなどと、ホップの生産農家が土壌や気象のデータを正確に把握できる仕組みを構築。
ビールの価格高騰は、英科学誌ネイチャー・プランツが18年に予測。日本では500ミリリットル缶が約3・5ドル(約515円)上がるとの見通しを示した。