がんの経験をネタに、漫才を披露する「さくらんぼ」の(右から)森野くるみさんと楠部知子さん=神戸市中央区橘通3、市立婦人会館
がんの経験をネタに、漫才を披露する「さくらんぼ」の(右から)森野くるみさんと楠部知子さん=神戸市中央区橘通3、市立婦人会館

 「どーもー、さくらんぼです」「乳がんやらせてもろてます」

 今年夏、神戸市中央区で「S1グランプリ」が初開催された。Sは「サバイバー」の頭文字。がんをテーマにしたお笑いイベントだ。会場には約80人の観客が集まり、がんを経験したサバイバーや介護者のコンビなど10組が登場した。

 舞台上にいる「さくらんぼ」は、乳がんサバイバーの俳優森野くるみさん(48)=明石市=と、多発性骨髄腫を患う俳優で精神科医の楠部知子さん(66)=大阪市=のコンビ。滑らかな口調で自身の病気をネタにしていく。

 「骨髄腫ですから、骨すっかすかです」「骨密度、低いですからね。他は上げておかんと」

 がんは1981年から一貫して日本人の死因のトップ。2人に1人が生涯に一度はがんと診断され、国内の新規診断数は年間100万件に上る。決して珍しい病気ではないが、社会で理解が進んだとは言い難い。医療の進歩などで5年生存率は向上し、長く付き合う病気になったが、今も「がん=死」という単純なイメージで語られがちだ。