陸上の日本選手権で東京五輪代表に決まった8選手が28日、大阪市内で記者会見し大舞台への抱負を語った。
日本選手権の男子100メートルを制覇し、初の五輪代表を射止めた多田修平(住友電工、関学大出)は「ファイナルを目指して頑張っていきたい」と引き締まった表情。公式ウエアを着て写真に納まり、決意を新たにした。
涙の初優勝から3日。25日の決勝は五輪参加標準記録を既に突破していた5選手が集い、「今までにないくらいレベルが高く、優勝するぞと顔がこわばるくらい集中した。そのおかげで優勝できた」と振り返った。
激戦を終え、「全力で取り組んできて、メンタルもすごく削られるので、優先的に体を休めた」という。「次の日も2日後もずっと(コーヒーチェーンの)スタバ(スターバックス)にいた」と報道陣を笑わせた。
東京五輪出場は、2017年に注目される前から目標にしていたという。群雄割拠の日本男子短距離界で、ライバルと切磋琢磨(せっさたくま)してたどり着いた舞台だけに、「皆さんの分まで走りたい」ときっぱり。400メートルリレーでは「1走がいいな」と、17年と19年の世界選手権で銅メダル獲得に貢献した走順の希望を口にし、「目指すところは一つ、金メダル」と宣言した。
スランプの時期を乗り越え、「最近は試合を楽しめている。五輪でも楽しさを感じながら走れたら」と思いを膨らませる。持ち味のロケットスタートからの快走で、「TADA」の名を世界にとどろかせる。(金山成美)