熱戦を続けるサッカー女子日本代表「なでしこジャパン」でフィジカルコーチを務め、試合に向けて選手の体の調子を整え、暑さ対策にも取り組む。選手のけがを防ぐことも重要な役割。「金メダルを取るための努力は積み重ねてきた。それを最後まで出し切れるかだ」と、自信を持って選手たちを送り出す。
神戸市灘区で生まれ、6歳まで芦屋市で育った。日本代表に選ばれたINAC神戸の選手たちとも「芦屋川で外遊びをしたこと、柔道少年だったことなどを時々話す」という。
小学5年生からサッカー一筋で、早稲田大学2年の時に負った右膝の大けがが転機となった。指導者を志していたが、リハビリを支えてくれたトレーナーの姿を見て「大学で学んだスポーツ科学を生かせるのは楽しい」と感じた。卒業後、東京大学大学院でスポーツ医学を学び、1997年、Jリーグのヴェルディ川崎の育成組織でトレーナーとしての一歩を踏み出した。
女子日本代表には2008年から携わり、今回が3度目の五輪となる。「スピード、持久力、敏しょう性が日本の生命線」と重点的に強化し、11年には悲願のワールドカップ優勝に貢献した。昨年から練習に衛星利用測位システム(GPS)を導入し、運動能力や疲労度も数値化。「運動の質を高められた」と話す。五輪初優勝に向け、「食事や気候、(自国開催で)慣れ親しんだ環境がポジティブに働いてくれたら」と期待する。
(尾藤央一)
(注)【切抜非公開】