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「がんばろうKOBE」を知るオリックス・バファローズの田口壮コーチ
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「がんばろうKOBE」を知るオリックス・バファローズの田口壮コーチ
1995年、リーグ優勝しファンの声援に応える田口さん(中央)。左端はイチローさん、右端は現在の中嶋聡監督
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1995年、リーグ優勝しファンの声援に応える田口さん(中央)。左端はイチローさん、右端は現在の中嶋聡監督
CSを前にオリックス中嶋聡監督(右)や風岡尚幸コーチ(中央)と話し合う田口壮コーチ=京セラドーム大阪
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CSを前にオリックス中嶋聡監督(右)や風岡尚幸コーチ(中央)と話し合う田口壮コーチ=京セラドーム大阪
日本シリーズで巨人を下して日本一となり、神戸市内をパレードする田口壮さん(右)=1996年11月17日、神戸市中央区東川崎町
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日本シリーズで巨人を下して日本一となり、神戸市内をパレードする田口壮さん(右)=1996年11月17日、神戸市中央区東川崎町
神戸新聞NEXT
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 25年ぶりにリーグ優勝を果たしたプロ野球オリックス・バファローズが10日、クライマックスシリーズ(CS)の初戦に臨む。ブルーウェーブ時代、「がんばろうKOBE」のワッペンを袖に着け、阪神・淡路大震災の被災地を勇気づけた当時の中心選手、田口壮さん(52)は現在、外野守備走塁コーチとしてチームを支える。日本一に懸ける思いを聞いた。

 1995年1月17日、田口さんは神戸市北区のマンションで被災した。電気や水道は止まり、スーパーに4時間並んで買えたのは缶詰のみ。変わり果てた神戸の姿にがくぜんとした。キャンプのために沖縄にたったが、「野球なんかやってる場合なのか」と後ろ髪を引かれる思いだった。

 3月、本拠地グリーンスタジアム神戸(神戸市須磨区、現・ほっともっとフィールド神戸)で行われたオープン戦。田口さんはスタンドに詰めかけた大勢の客の姿に驚いた。ジャージー姿の家族連れも目立った。「着の身着のままという感じで。そんな中でも来てくれてうれしかったけど、複雑でもありました」

 震災で調整が遅れ、不利が予想されたが、チームは仰木彬監督(故人)のもとで団結した。傷ついた市民を快進撃で励まし続けた。震災から8カ月後の9月19日にリーグ優勝。神戸新聞の朝刊1面には「復興励ます初V」の文字が躍った。

 翌年も勢いは止まらず、リーグを連覇。日本シリーズでは巨人を破り、神戸で日本一を決めた。最後のレフトフライをつかんだのは田口さん。「地元ファンの皆さんに『胴上げを見せたい』と全員が取り組んだ。本当にうれしかった」

 2002年、田口さんはメジャーリーグに挑戦。2年後、オリックスは近鉄と合併し、「ブルーウェーブ」のチーム名は消えた。田口さんは10年に日本に戻り、再びオリックスでプレー。引退後は野球解説者などを経て、16年に2軍監督として現場復帰した。

 当時、チームは20年間優勝から遠ざかり、Bクラスの常連に。「負け癖がついている。戦うメンタルをつくらないといけない」。若い選手たちと対話を重ねた。その一人が今年、2番サードに定着した宗佑磨(25)。シーズンを通して活躍できる体をつくりあげた。他にも、ここ一番で結果を出せる若手が次々と台頭し、「負けないチーム」への成長を遂げた。

 CSを突破し、日本シリーズに出場すれば、本拠地・大阪の他、神戸が予定される。「大阪、神戸両方のファンに喜んでもらえる」と田口さん。神戸は第6、7戦の27、28日に予定されているが、「どれだけ寒くても神戸でできるのがうれしい。胴上げもできたら最高。実現させたい」と力を込めた。(小森有喜)

■私設応援団も熱く

 CS突破に向け、オリックス私設応援団の団員たちにも力が入る。近鉄時代から活動を続ける「大阪紅牛會」と、ブルーウェーブ時代からの「神戸蒼誠会」。名を引き継ぎながら合同で活動し、それぞれ赤と青の法被姿でスタンドの熱気を選手に届ける。

 両会のメンバーは、会社員や公務員、大学生ら計約20人。チケットや遠征費はすべて自己負担で、仕事などの合間を縫って北海道から福岡まで飛び回る。

 近鉄とオリックスは2004年に合併。かつての敵同士ではあるものの、互いに愛するチームを失った悲しみを分かち合い、手を携えようと誓った。外野席には「いてまえ魂」「青波魂」の横断幕を並べる。

 新型コロナウイルス禍で活動が大幅に制限される中、録音した応援歌を球場内に流してもらい、手拍子をリード。神戸蒼誠会の後藤正樹会長(57)=神戸市垂水区=は「例年とは違う形だが、日本一を目指して精いっぱい応援したい」と話している。(小森有喜)

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