Ｊ２に降格する横浜ＦＣで、去就が注目されるサッカー元日本代表ＦＷ三浦知良（５４）が、５５歳になる来季に向けて早くも始動している。今季のＪ１は４日に終わったばかりだが、ゆかりのある関西で１２日から自主トレーニングをスタート。１５日の練習後、笑顔で充実ぶりを語った。（小川康介）

　「関西でのキャンプは初めてですよ。元々、横浜ＦＣで一緒にやっていた選手、京都パープルサンガでやっていた選手、ヴィッセル神戸の朴康造（パク・カンジョ）とか、きょうもガンバ大阪の井手口陽介選手が来てくれて、みんなでわいわいやっています」

　「集中してできています。ここの練習施設のスタッフ、シェフがいつも以上に気合入りすぎてと言っていましたが、本当によくしてもらっています。結構ボリュームがあるので大変ですけど、全部食べるようにして、おかげさまで体重もそれほど落ちずにやれている。食べる場所も（宿泊する）部屋も完全に隔離してくれていて、他の人たちとほとんど会うことはない。施設としては最高だと思う。練習場までの移動がすぐだし、テレビを見る時間もなく過ごしている」

　今季のＪ１出場はわずか１試合、１分にとどまり、ＹＢＣルヴァン・カップでは３試合全てで途中出場だった。やれる限り現役を続ける意向で、自身に関するニュースが出るたびにインターネット上では賛否両論の書き込みが相次ぐ。

　「世間はざわついていますか？　ここは非常に静かですよ（笑）。そういうことから離れているとあまり実感ないですね。でも喜ばしいことじゃないですか。本当に選手として幸せだと思いますよ。こんなに興味を示してくれるわけですからね」

　来季を２部リーグで戦う横浜ＦＣから契約延長を打診された一方、出場機会を重視して移籍する可能性を探る。兄の三浦泰年氏（５６）が監督を務める日本フットボールリーグ（ＪＦＬ、４部相当）の鈴鹿ポイントゲッターズなど複数チームが獲得に名乗りを上げており、５部にあたる地域リーグでは新たにおこしやす京都（関西リーグ１部）からのオファーが報じられた。

　「自分じゃ（移籍に関する）ニュースを全然見ないんでね。ここに（一緒に）いる人たちもあまり見ないんで。でも鈴鹿のこと（元執行役員から金銭要求を受け、一部を支払ったとクラブが発表）とか心配してね、連絡が来ますけどね。それは僕も心配ですけどね。自分の兄貴がいるんで」

　「おこしやす京都？　会いますよ。会うことになっています。オファーを出してくれているクラブのオーナーやＧＭから、横浜ＦＣを通してちゃんと全部連絡が来て、何日に訪ねたいので、時間をつくってくださいと連絡を取り合っているというか、日時だけですけど」

　ビジョンや目標があれば、地域リーグでも構わないというスタンスだ。

　「そうですね。いろんなクラブがオファーを出してくれているので、話は聞きたいなと思います。西京極でまたプレーしたいか？　どうですかね。新しい方（サンガスタジアムｂｙＫＹＯＣＥＲＡ）がいいですね。チームはどこでもいいですけど、あそこでやってみたい。会って話をしたのは横浜ＦＣともう１チームぐらい。これから予定が組まれていて、そういうことで忙しくなる。本当にこれから」

　来年は５０代後半に突入。年齢が上がるとともに心身とも変わる部分はある。今季も終盤に差し掛かった秋、変わったことは何かと問われると、こう答えた。

　「前はやるだけやれば自分が気持ちよくなるし、パフォーマンスも上がっていった。今は疲れが出すぎちゃって、逆にマイナスになるということも体で覚えてきたので、やりすぎには気を付けている。またここがすごく難しくて、やらなきゃ落ちていくしね」

　「健康診断の数値は全然変わってないんですよ。内蔵的にも。血圧なんかもね。人間ドックは年に２回ぐらいやる。でも細かいスポーツ面での筋肉量って少なくなっているんじゃないかなあと思いますね。そりゃそうだよね」

　「維持するには筋肉だけを増やすっていうことをしなきゃいけない。ってなると筋トレを増やす。それだとサッカーができないです。若い時はできたけど、今はどれを取るかということになっちゃう。ちゃんとサッカーができるというのが最優先で、捨てるものは捨てないといけない。あとはやはりメンタルの部分が大事ですよね」