スポーツ

パラアスリート、練習環境に悩み 施設借用「ハードル高い」女子走り幅跳びの中西ら、兵庫県知事に直談判

2021/12/16 05:30

 新聞やテレビ、ネットなどの報道でパラスポーツの魅力を伝えた今夏の東京パラリンピック。しかし、アスリートの練習場確保という課題は、閉幕後も残ったままだ。日本代表も例外ではなく、兵庫県では陸上のトップ選手2人が斎藤元彦知事に直談判するなど、切実な思いを吐露している。(有島弘記)

 今月2日、兵庫県庁の応接室。東京大会の結果を報告する表敬訪問だったが、女子走り幅跳び(義足・機能障害T64)6位入賞で伊丹市在住の中西麻耶(阪急交通社)は知事と対面すると、練習の悩みを伝え始めた。

 「しっかりした競技場が多いが、しっかりし過ぎている分、毎日使用するのが難しい」「(地元の)スポーツセンターは土で…」

 その横で、男子100メートル(車いすT52)銀メダルの大矢勇気(西宮市出身)もうなずいていた。

 大分県出身の中西にとって、兵庫を含む関西の練習環境は公認大会を開催できる競技場が多く、憧れの対象だった。だが、現実は違った。

 2020年春に移り住むと、予約の競争率が高く、普段使いすることはできない。東京大会前の拠点は武庫川河川敷で、近隣の公的施設はタータン(全天候型トラック)が未整備だった。

 一方、大矢は東京大会まで当時の所属先の協力で使えた練習場を失った。一般利用で施設を探し始めたが、岩見一平コーチによると、競技場によってはウェブ上で空き状況が分かるが、そのまま予約できるのは団体のみ。個人は電話が必要で、混み具合によっては車いすとぶつかる恐れがあるため、諦めるという。

 IPC(国際パラリンピック委員会)の最高位スポンサー「ワールドワイドパートナー」のコカ・コーラ社など、著名企業のCMに出演するアスリートと、メダリストが直面する難題。「借りるハードルが高い」。2人が知事に相談した理由が、ここにある。

 両者の訴えは専用練習場の新設を求めているわけではない。中西は障害の有無を問わず、「タータンで走る楽しみや健康維持。幅広い人が使える施設があってほしい」と土のグラウンドの改修を念頭に提案する。原資となる税金の重みは十分に理解している。

 19年の世界選手権女王でもある中西は「県民のみなさんに還元できるよう、自分の立場でもやれることをやる」と24年パリ大会での金メダルを目指しながら知恵を絞る。

続きを見る
スポーツ

あわせて読みたい

スポーツ

もっと見る スポーツ 一覧へ

特集