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2012年大会で新調された兵庫県高校駅伝の優勝旗。歴史のある大会では歴代優勝校のさまざまな思い出が詰まっている
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2012年大会で新調された兵庫県高校駅伝の優勝旗。歴史のある大会では歴代優勝校のさまざまな思い出が詰まっている

 富士通の陸上競技部といえば、東京五輪男子5000メートル代表で津名高出身の坂東悠汰や男子マラソン日本記録保持者の鈴木健吾らが所属する強豪だ。その陸上競技部が今年1月の全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)で12年ぶり3度目の優勝を果たした際に授与された優勝旗が所在不明になったという。

 「消えた優勝旗」で思いだしたのが、高校駅伝の強豪、報徳高の故・鶴谷邦弘監督(当時)だ。1981(昭和56)年に全国高校駅伝で初優勝を果たした翌年春、兵庫県西宮市の同校体育館で火災が発生し、優勝旗が焼失してしまった。鶴谷監督は主催する毎日新聞社に出向いて謝罪した後、全国各地の歴代優勝校を巡る「おわび行脚」を敢行。鶴谷監督の丁寧な人柄が伝わるエピソードとして、心に残っている。

 その後、新調された大旗は82年に初めて都大路を制した同じ兵庫の宿敵・西脇工高に渡ったが、「もう一度、全国優勝して本当のおわびを」と強く願った鶴谷監督は83年から史上初の全国3連覇を達成。新旧の優勝旗は計5年間、兵庫にとどまることになった。

 富士通は陸上競技だけでなく、アメリカンフットボールのXリーグ、バスケットボール女子のWリーグなどでも活躍し、女子ゴルフで滝川第二高出身の古江彩佳も所属契約を結ぶスポーツ界ではなじみの深い企業だ。同社は引き続き優勝旗の捜索に全力を尽くすとしている。優勝旗が持つ重みを再確認させてくれた今回の騒動だが、多くの関係者の思いが詰まった唯一無二の存在だけに、無事に見つかることを願う。

(大原篤也)

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