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「地元が好きだから」と、八千代中時代の美術教諭と一緒に考えたというサイン=10月29日、三木市内
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「地元が好きだから」と、八千代中時代の美術教諭と一緒に考えたというサイン=10月29日、三木市内
ドラフト直前、スカウト全12球団約50人が集結する中で力投した関西国際大の翁田大勢=2021年10月4日、大阪シティ金庫スタジアム
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ドラフト直前、スカウト全12球団約50人が集結する中で力投した関西国際大の翁田大勢=2021年10月4日、大阪シティ金庫スタジアム
西脇工高3年時、夏の兵庫大会で力投する翁田大勢投手。高校時代はドラフト指名漏れを経験した=2017年7月
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西脇工高3年時、夏の兵庫大会で力投する翁田大勢投手。高校時代はドラフト指名漏れを経験した=2017年7月
巨人から指名あいさつを受けた後、チームメートと記念撮影に収まる関西国際大の翁田大勢=2021年10月13日、三木市の関西国際大
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巨人から指名あいさつを受けた後、チームメートと記念撮影に収まる関西国際大の翁田大勢=2021年10月13日、三木市の関西国際大
【P説別送】巨人にドラフト1位で指名を受けた関西国際大の翁田大勢=10月29日、三木市内
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【P説別送】巨人にドラフト1位で指名を受けた関西国際大の翁田大勢=10月29日、三木市内

 兵庫県の北播磨で生まれ育った大型右腕が、プロの世界に乗り込む。今季から巨人のユニホームに身を包む大勢(翁田大勢)投手(関西国際大)は西脇工高出身の22歳。夢をつかむまでの歩みに、ドラマのような美しさはない。指名漏れ、新型コロナウイルス禍、右ひじの故障-。壁にぶつかるたび、泥臭くはい上がってきた日々を振り返る。(長江優咲)

 西脇工高3年だった2017年秋、期待されたドラフト指名は空振りに終わった。放課後、学校の会議室に集まった記者らとともに、最後の選手が指名されるまでを見届けた。何のためにプロになるのか-。最も大切なことに向き合う上で、それは必要な経験だった。

 「指名漏れしたことで、『プロにはほど遠い』という自分の現在地を確認できた。大学でも苦しい時期はあった。けど『プロに行く』という気持ちは変わらなかった。『もうあんな思いはしたくない』と歯を食いしばって頑張ってきた」

 「(高校時代は)もともと就職を考えていたくらいで、夏が終わってもプロのスカウトの方が気にかけてくださっていたから志望届を出した。トレーニングの取り組み方や野球に対する思いが甘かったし、中途半端だった。本気になれてなかったなと今は思う」

 高校最後の夏は、兵庫大会5回戦で敗れた。全国的には無名の存在で、「西脇工の翁田」といえば、同校初の甲子園出場を果たした2013年のエース、兄の勝基さんが印象強い。小学1年生で野球を始めたのも、同じ高校へ進んだのも、兄を追いかけて…と思いきや、一筋縄にはいかないのが翁田だ。

 「サッカーがしたかった。少年サッカークラブと少年野球クラブが当時、同じ日に同じ八千代小のグラウンドで練習していて。親に少年サッカーに連れて行ってもらえるという話でグラウンドへ行ってみたら、担がれて泣きながら野球の方に…(笑)。最初は嫌やったんですけど、やってみたら人より投げられたり打てたり、『人よりもできる!』という経験が楽しくなった」

 「高校は、本当は神戸国際大付に進みたかった。氷上ボーイズの先輩が神戸国際大付で甲子園に出場したのを見て『かっこいいな』と。でも地元の野球仲間に『一緒に西脇工で野球をしよう』と誘われて。週明けに学校で『(西脇工に)行くわ』と言うと、そいつ『俺はやっぱり社に行く』って(笑)」

 指名漏れの悔しさを胸に進んだ関西国際大では、2年春から公式戦に登板。だが、ここから不運が重なる。3年春は新型コロナウイルスの影響でリーグ戦が中止になり、その秋と4年春は右ひじの疲労骨折に苦しんだ。登板機会がないまま迎えた昨秋、スカウトに視察してもらえたのはドラフト直前のみ。それでも、心は折れなかった。

 「(その時々の)瞬間はショック。でも、そうなった以上、次にどう生かしていくかを考えないと。落ち込むより、いいように持って行くしかなかった。けががきっかけで出会ったパーソナルトレーナーの存在にも助けられた。手術をしなくても『大丈夫、行けるよ』と。その言葉を信じた。あの言葉がなければ、手術して秋のリーグ戦も投げられていないだろうし、プロ野球選手にもなれてない」

 勝負の昨秋。直球は最速157キロを記録し、心は一層たくましくなった。2022年、翁田は晴れてプロ野球界への大きな一歩を踏み出す。サイン色紙には、力強く「開幕一軍」の文字が躍る。

 「プロの世界に入ってからが大事。ドラ1に満足せず、強い自分でやっていきたい。阪神との試合では、自分が投げて抑えて『翁田やったら仕方ない』と思ってもらえるように。人を魅了できる、巨人を代表する投手になりたいですね」

【おうた・たいせい】1999年生まれ。八千代少年野球クラブで野球を始め、多可町立八千代中時代は氷上ボーイズでプレーした。西脇工高では2年秋からエースで四番。右横手気味からの速球と、球威が落ちないスタミナが武器で、関西国際大でも活躍した。巨人での登録名は「大勢」に、背番号は沢村拓一(現レッドソックス)らが着けた「15」に決まった。181センチ、88キロ。右投げ右打ち。

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