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2005年の第60回大会で日本勢トップの3位に入り、世界選手権代表の座を射止めた細川道隆
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2005年の第60回大会で日本勢トップの3位に入り、世界選手権代表の座を射止めた細川道隆
2009年の第64回大会で4位に入った清水将也(左)と6位に入った清水智也
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2009年の第64回大会で4位に入った清水将也(左)と6位に入った清水智也
2012年の第67回大会で日本勢トップの4位に入り、ロンドン五輪代表の座をつかんだ山本亮
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2012年の第67回大会で日本勢トップの4位に入り、ロンドン五輪代表の座をつかんだ山本亮
2013年の第68回大会で日本勢トップの4位に入り、世界選手権代表代表切符を手にした藤原正和
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2013年の第68回大会で日本勢トップの4位に入り、世界選手権代表代表切符を手にした藤原正和
昨年のびわ湖毎日マラソンで2時間7分36秒の兵庫記録をマークした村本一樹(本人提供)
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昨年のびわ湖毎日マラソンで2時間7分36秒の兵庫記録をマークした村本一樹(本人提供)

 昨年まで五輪や世界選手権の男子代表選考会を兼ねて実施されてきたびわ湖毎日マラソンは、今回から市民参加型で行われてきた大阪マラソンと統合され、大阪マラソン・びわ湖毎日マラソン統合大会(27日・大阪府庁前-大阪城公園)として行われる。1946(昭和21)年に第1回大会が開かれたびわ湖毎日マラソン。昨年まで76回を数え、幾多の名勝負が繰り広げられてきた大会を盛り上げた兵庫勢の活躍を振り返った。(所属などは当時)

■ホープ渋谷が初V(第41回大会=1986年)

 スタート直後から強い日差しが注ぎ込んだ。気温は20度に達し、32キロを過ぎて先頭集団は7人。有力ランナーたちは記録よりも勝負に徹していた。40キロ地点で仕掛けたのは、加古川東高から筑波大を経て社会人1年目の渋谷俊浩(雪印乳業)。前年のユニバーシアード神戸大会で聖火ランナーを務め、男子マラソンで7位に入った。8度目のマラソンと経験は豊富。勝負どころと悟ったスパートで、一気に後続を突き放した。2時間14分55秒で初優勝を飾ったホープは88年の福岡国際マラソンでも頂点に立ち、第一人者としての地位を築いていった。

■小島宗、我慢の初優勝(第53回大会=1998年)

 25キロまでは世界最高を狙えるハイペースだったが、そこからはサバイバルレースに。10人の先頭集団は7人に減り、29キロ付近では宗幸と忠幸の小島兄弟(ともに旭化成、西脇工高出)とキプロプ(ケニア)の3人に絞られた。キプロプの揺さぶりに耐え、35キロすぎに抜けだしたのは小島宗。2位に入ったフィス(スペイン)の連覇を阻み、日本歴代7位となる2時間8分43秒で初優勝を飾った。終盤に力尽きた小島忠は2時間12分43秒で5位に終わった。

■藤原が初マラソン日本最高で3位(第58回大会=2003年)

 35キロすぎで日本人トップに躍り出ると、最後まで粘りの走りを貫いた。初マラソン日本最高で日本学生記録を更新する2時間8分12秒をマークした中大4年の藤原正和(西脇工高出)。日本勢トップの3位に入った21歳の新星は世界選手権代表の座を射止めても舞い上がることはなかった。「2時間8分半を目標にしていたので、まあ合格点。できれば外国人にも勝ちたかった」。ともに2時間7分台をマークしたコスゲイ(ケニア)、ペーニャ(スペイン)に力の差を見せつけられ、「35キロ以降で勝負できないとだめだということが、よく分かりました」と謙虚な姿勢で世界を見据えた。

■小島忠は日本勢トップも五輪代表はならず(第59回大会=2004年)

 アテネ五輪代表選考会最終戦。大器がようやく本領を発揮した。前年の福岡国際マラソンで2時間8分48秒の自己ベストをマークし、7位に入った小島忠幸(旭化成、西脇工高出)は「絶対にオリンピックに行く」という強い気持ちで臨んだ。ペースメーカーがいなくなった30キロすぎから激しい駆け引きが続いた先頭集団。39キロ付近で飛び出したリオス(スペイン)が2時間7分42秒で優勝したが、終盤の失速も最小限にとどめて2時間8分18秒で日本勢トップの2位に入った。ハイレベルでスピードとスタミナを磨いた結果だったが、アテネ五輪代表メンバーからは漏れた。兄の小島宗幸(旭化成、西脇工高出)は2時間10分7秒で8位。2時間9分55秒で7位に入った渡辺真一(山陽特殊製鋼)は兵庫の実業団選手として初めて2時間10分を切った。

■苦労人、細川が世界切符(第60回大会=2005年)

 30キロ付近で先頭集団は3人に絞られた。連覇を狙うリオス(スペイン)とリリ(ケニア)を相手に、唯一の日本勢として食らいついたのが、2度目のマラソン挑戦となった細川道隆(大塚製薬、明石南高-京産大出)。強い向かい風を突き、粘りに粘り抜いた。レースはリリが2時間9分0秒で制し、3秒差でリオスが2位。細川は2時間9分10秒で日本勢トップの3位に入り、世界選手権代表の座を勝ち取った。相次ぐけがに泣かされてきた苦労人が28歳にして日本代表入りを決めた。さらに3秒差で4位に続いた奥谷亘(富士重工、西脇工高出)も世界選手権代表入り。方山利哉(NTT西日本、宝塚東高-関大出)が2時間10分12秒で7位に入った。

■清水将が兄の意地(第64回大会=2009年)

 スタート時は天候晴れ、気温15度、湿度50%。強い日差しが照りつける中で、先頭集団に食らいついたのが清水将也(旭化成、西脇工高-日大)だった。41キロ付近で抜けだした前世界記録保持者のテルガト(ケニア)が2時間10分22秒で優勝し、28秒遅れで日本勢トップの4位に入賞。世界選手権代表の座をつかんだ。前回大会で2時間9分23秒をマークし5位に入った双子の弟、清水智也(佐川急便、西脇工高-日大出)は26キロすぎで先頭集団から脱落したが、2時間12分30秒で6位。兄弟で日本勢ワンツーフィニッシュを果たした。

■一般参加の山本、執念の五輪切符(第67回大会=2012年)

 一般参加の伏兵ランナーが一気に五輪代表まで駆け上がった。27歳の山本亮(佐川急便、長田高-中大出)。雨中のレースで終盤に執念の粘りを見せた。前年の世界選手権で10位に入った中本健太郎(安川電機)が38キロ付近で日本勢トップに立ち、ロンドン五輪代表争いの勝負は決したかに見えたが、諦めない山本が猛追を開始した。2時間7分4秒をマークしたドゥング(愛知製鋼)が初優勝を遂げた後、ラスト400メートルで山本が中本に追い付き、かわす。その差は瞬く間に開いた。2時間8分44秒で日本勢最高の4位。5位中本との差は9秒だった。

■藤原が鮮やかに復活(第68回大会=2013年)

 中大4年時に初マラソン日本最高記録を樹立してから10年。ベテランと呼ばれる域に達した31歳の藤原正和(ホンダ、西脇工高-中大出)が熟練の走りを見せた。先頭集団から次々と日本勢が脱落する中で、「外国人を一人でも倒したい」と前を追った。2時間8分34秒で優勝したキプルト(ケニア)とは17秒差。2時間8分51秒で日本勢最高の4位に入り、世界選手権代表の座を射止めた。ロンドン五輪代表の山本亮(佐川急便、長田高-中大出)は2時間9分6秒で5位。日本勢の上位を占めた2人はその後、母校・中大の駅伝監督、コーチに就任。今年の東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)では6位に飛躍し、10年ぶりのシード権獲得にこぎ着けた。

■2時間10分切りは延べ13人

 びわ湖毎日マラソンで過去に2時間10分を切った兵庫ゆかりの選手(兵庫出身、兵庫陸協登録など)は延べ13人。2021年の大会で2時間7分36秒の兵庫記録を樹立して11位に入った村本一樹(住友電工)がトップだ。神戸市立岩岡中から星陵高、兵庫県立大を経て現在も住友電工で奮闘する村本は「ミスター兵庫人」といえ、今年も招待選手として統合大会に出場する。

 大会は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、約2万人が参加予定だった一般ランナー部門の中止が決まり、エリート部門(約300人)のみで開催される。

(大原篤也)

■びわ湖毎日マラソン 2時間10分を切った兵庫関係選手

(1)2時間7分36秒=21年11位

   村本 一樹(住友電工)岩岡中-星陵高-兵庫県立大

(2)2時間8分12秒=03年3位

   藤原 正和(中大)大河内中-西脇工高

(3)2時間8分18秒=04年2位

   小島 忠幸(旭化成)篠山中-西脇工高

(4)2時間8分43秒=98年1位

   小島 宗幸(旭化成)篠山中-西脇工高

(5)2時間8分44秒=12年4位

   山本  亮(佐川急便)西神中-長田高-中大

(6)2時間8分51秒=13年4位

   藤原 正和(ホンダ)大河内中-西脇工高-中大

(7)2時間9分 6秒=13年5位

   山本  亮(佐川急便)西神中-長田高-中大

(8)2時間9分10秒=05年3位

   細川 道隆(大塚製薬)魚住中-明石南高-京産大

(9)2時間9分13秒=05年4位

   奥谷  亘(富士重工)播磨中-西脇工高

(10)2時間9分15秒=21年31位

   谷原 先嘉(大阪府警)多田中-市尼崎高-山梨学院大

(11)2時間9分18秒=20年5位

   山本 翔馬(NTT西日本)唐櫃中-西脇工高-大東大

(12)2時間9分23秒=08年5位

   清水 智也(佐川急便)豊岡北中-西脇工高-日大

(13)2時間9分55秒=04年7位

   渡辺 真一(山陽特殊製鋼)大阪・清教学園高-立命大

(注)所属は当時

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