サッカーのワールドカップ（Ｗ杯）カタール大会１次リーグＥ組最終戦は１２月２日午前４時（日本時間）から行われ、日本はスペインと対戦する。Ｊリーグ１部（Ｊ１）ヴィッセル神戸の元スペイン代表ＭＦアンドレス・イニエスタ（３８）は「結果を予測するのは難しいが、いい試合になるのは間違いない」と、縁深い両国の激突を現地で見届ける。

■南アフリカ大会で初優勝に導くゴール

　名門バルセロナやスペイン代表で一時代を築いたイニエスタ。２０１０年Ｗ杯南アフリカ大会では、オランダとの決勝戦の延長後半、初優勝に導くゴールを決めて母国の英雄となった。「Ｗ杯が近づき、その映像を見ると頭の中はすぐその時に戻る。いつだってとても感動的になる」。当時スペイン国内の視聴率は８０％を超え、「私やチームメートだけでなく、数千万人のスペイン人にとっても忘れられない思い出になっていると思う」と語る。

■「両国に勝ち進んでほしい」複雑な心境も

　一方でヴィッセル神戸に加入して５年目を迎え、「第二の故郷」と繰り返すほど日本への愛着も深い。「スペイン人なのでスペインを応援するが、日本も大好きなチーム。若い選手がたくさん出てきてコンビネーションもうまい。両国に勝ち進んでほしい」と複雑な心境を漏らす。

■大混戦のＥ組「Ｗ杯は何が起こるか分からない」

　日本がコスタリカに敗れ、スペインがドイツと引き分けたことで、Ｅ組は全チームに決勝トーナメントの可能性が残る大混戦となった。「Ｗ杯は何が起こるか分からない。とてもプレッシャーがかかるから、予想通りにはいかないもの」。前回ロシア大会までの４大会に出場し、２０１４年ブラジル大会では１次リーグ敗退の経験もある世界的名手は、今大会の相次ぐ波乱も予測していた。

　今大会は家族とカタールを訪れている。開幕前、「スペインが１次リーグ突破を決めていたら、日本に負けてもいいかな」と冗談めかしていたイニエスタだが、こうも語っていた。「（突破が決まっていなければ）最終戦はすごいテンションになるだろう」

（山本哲志）

【日本の決勝トーナメント進出条件】

　１次リーグＥ組は１勝１分けで勝ち点４のスペインが首位、１勝１敗で勝ち点３の日本が２位、同勝ち点のコスタリカが得失点差で３位、１分け１敗で勝ち点１のドイツが４位。日本は最終戦のスペイン戦に勝てば決勝トーナメント進出が決定。引き分けた場合、もう１試合のコスタリカ－ドイツも引き分けなら日本が１６強入りする。ドイツが勝って日本と勝ち点４で並んだ場合は、得失点差の争いとなる。日本は負ければ敗退となる。