サッカーの全日本高校女子選手権決勝とWEリーグ第8節のINAC神戸-新潟戦が8日、神戸市兵庫区のノエビアスタジアム神戸で同日開催される。女子サッカー界初の試みとなる「ダブルヘッダー」の発起人、INAC神戸の安本卓史社長は「神戸は女子サッカー発祥の地。野球界の甲子園のように、ノエスタを『聖地』にしたい」と鼻息が荒い。競技普及の足がかりとなるか。
日本初の女子サッカーチームは1966年、神戸市灘区の福住小で誕生したとされる。安本社長は、神戸に根ざすプロチームの一員として「当時の思いを継いでいかなければ」と、昨年のWEリーグ発足時に既に構想を温めていたという。
日本代表の親善試合がノエスタで行われた昨年6月、日本サッカー協会の田嶋幸三会長に話を持ちかけ、開催に向けてリーグや会場側などと調整を進めてきた。
背景には、リーグ初年度に浮き彫りになった集客面の課題がある。初代女王に輝いたINAC神戸は昨季、東京・国立競技場で開催した三菱重工浦和戦で1万2330人を集めたが、ノエスタでの観客動員数は大宮を迎えた開幕戦の4123人が最多だった。他クラブの状況はさらに厳しい。そんな中、今季はノエスタで1万人動員を目指しており、これを高校の最高峰との「ダブルヘッダー」で達成したい考えだ。
安本社長は「『聖地』で両方の試合を見てもらうことでリーグのレベルの高さを知ってもらえる。そこを目指す小中高校生や保護者にも、女子サッカーをもっと身近に感じてもらえるはず」と意義を強調する。
高校時代に同選手権2連覇を経験したINAC神戸の伊藤美紀が「子どもたちに『目指したい』と思ってもらえるプレーをしたい」と話すように、WEリーガーにとっても刺激となっている。安本社長は「INAC神戸が先導役となって女子サッカーの文化を形成し、根付かせたい」と力を込める。
当日は午前10時30分からINAC神戸-新潟があり、午後2時10分から同選手権決勝が行われる。