村元哉中と高橋大輔は、晴れ晴れとした表情で現役生活を振り返った。(藤村有希子)
-引退の理由は。
高橋 四大陸選手権後、哉中ちゃんに引退を伝えた。右膝に限界を感じた。競技レベルでパフォーマンスする上で体がついていかないと思った。
村元 引退の決断を聞くことは覚悟していた。これ以上のパートナーはいない。世界選手権と世界国別対抗戦で、目標にしてきた「記憶に残る演技」ができた。
-印象深い試合は。
高橋 最後の試合になった世界国別対抗戦。フリーでめちゃくちゃ緊張したけれど、この景色を見ることはもうないから目に焼き付けようと、今までにないくらいゆっくりと会場を見回した。いい演技ができて、ガッツポーズもして、やりたいことが全部できた。
村元 今季のスケートアメリカ。ハリケーン(の被害)もあって、けがもして、スケート人生で一番大変だった。出場するかどうか数日悩んだ。練習していない割にいい演技ができた。あれがあったから、今の絆につながるのかなと。
-互いの魅力は。
高橋 シングルの時から哉中ちゃんの表現や踊りが大好きで、アイスダンサーになって一層輝きが出てきた。いろんなジャンルをこなせるスケーターはなかなかいない。
村元 表情や目線の使い方、指先など、全身で音楽を捉えている。アイスショーのプロデュースでは、誰も思いつかないような面白いアイデアをたくさん持っている。その世界観が魅力。
-高橋選手にとっては2度目の引退。
高橋 シングルの頃は自信をなくし、スケートをすることも嫌になっての引退だった。今は少しでもできることがあれば、自分を褒めてあげられるようになった。もう十分やりきったかなと。
-今後は。
高橋 カップル、個人としてもパフォーマンスをしていきたい。いろんな形でエンターテインメントの世界に関われたら。(ファンには)まだまだジェットコースターに乗っていてほしい。
村元 これからも大ちゃんといろんな作品をつくれたら。大ちゃんから「哉中ちゃんは1人でも見せられるスケーターだよ」と言われてうれしかった。村元哉中として、表現者としてパフォーマンスをしたい。