神戸-清水 後半、同点のシュートを決めて走り出す神戸の鍬先(右から2人目)=ノエビアスタジアム神戸(撮影・小林良多)
神戸-清水 後半、同点のシュートを決めて走り出す神戸の鍬先(右から2人目)=ノエビアスタジアム神戸(撮影・小林良多)

 明治安田J1リーグ第32節第1日の27日、ヴィッセル神戸はノエビアスタジアム神戸(神戸市兵庫区)で清水エスパルスと対戦し、酒井が後半追加タイムに得点し、2-1で逆転勝ちした。2連勝を飾って18勝6分け8敗の勝ち点60とし、大勝した首位鹿島アントラーズと勝ち点4差の2位のままとなった。

 諦めずに猛攻を続けた神戸が、最後の最後にゴールをこじ開けた。勝てなければ優勝争いから一歩遠のく一戦。頼れるベテランの一撃で、喉から手が出るほど欲しかった白星をもぎ取った。

 引き分けが近づきつつあった1-1の後半追加タイム。「絶対に来ると思って信じて走っていた」という酒井がゴール前で滑り込みながら、執念の左足で突き刺した。スタジアムがどよめきと歓声に包まれる中、ほえながら長い距離を駆けてベンチへ。「みんなでつないだゴール」と誇った。

 直近5試合で1失点という堅守同士の戦いは、終盤まで苦しめられた。前半40分、先に清水に均衡を破られると、後半開始から武藤を投入して布陣を変更。20分、ゴール前の混戦で、大迫が足を伸ばした浮き球に鍬先(くわさき)が頭で合わせて同点とした。

 J2長崎から昨季加入した鍬先は、欠場の井手口に代わって中盤で2戦連続先発。自身のJ1初得点で劣勢ムードを一変させた。次々とゴールに迫った終盤、酒井は右サイドバックからめったに担わないボランチにポジションを移し、終了間際に歓喜を呼び寄せた。

 この日、2時間早く試合が始まった首位鹿島が先に4得点で大勝していただけに、勝利は必須だった。残り6戦。勝ち点4差で追いすがり、次も勝って鹿島との大一番を待つ。(井川朋宏)