日本郵船傘下の郵船クルーズ(横浜市)が新造した豪華客船「飛鳥Ⅲ」(5万2265トン)が26日午前、600人の乗客を乗せて神戸港に初寄港した。中突堤旅客ターミナル(神戸市中央区波止場町)で歓迎のセレモニーが開かれ、朝早くから詰めかけたファンや関係者らが祝った。(浮田志保)
飛鳥Ⅲはドイツの造船所で建造され、7月20日に横浜港で就航した。全長230メートル、乗客定員740人、客室381室と日本船籍の客船では最大となる。神戸港には就航前の7月8日に習熟航海の一環で入港したが、旅客を乗せて来るのは今回が初めて。
9月23日に博多港を出発し、瀬戸内海を抜けて大阪湾に入ると、予定よりも少し早い26日午前8時過ぎ、中突堤に差しかかった。
「ようこそ飛鳥Ⅲ」。護岸では、ファンらが大きく書いた手作りの横断幕を掲げ、神戸学院大の吹奏楽部が演奏をして出迎えた。乗客らは客室のバルコニーから手を振って応じた。
式典で神谷敏充船長は「神戸港は第2の母港。これからも神戸の人々と交流を持っていきたい」とあいさつし、市職員から初寄港の記念盾を受け取った。
1990年代に就航した初代「飛鳥」からのファンという男性(69)=須磨区=は「受け継がれた船体のデザインに歴史を感じる。美しくて、見るだけでワクワクします」と笑みを浮かべた。
飛鳥Ⅲは同日夜、神戸港から函館や仙台を巡る9日間の航海に出発した。