能登半島地震の被災地支援のため、兵庫県養父市養父市場の運送会社「山本運輸」が所有する移動式ランドリー車が22日、石川県珠洲市の上戸小学校へ向けて出発した。同日、養父市役所前で出発式が行われ、現地入りする同社員や市職員らが決意を語った。(吉田みなみ)
ランドリー車は車でけん引するコンテナ型で、コイン式洗濯乾燥機9台を搭載する。通常時はコインランドリーとして道の駅などに設置できるが、非常時は避難所で被災者の衣類洗濯などに役立てられる。
同社は養父市と協定を結び、災害時に市の要請があれば、被災地へランドリー車を派遣することになっている。2023年8月の台風7号では、断水した同市八鹿町伊佐地区の住民に無料で開放した。今回は、関西広域連合で決めた支援の役割分担「カウンターパート方式」により、県の指示を受けて派遣した。
養父市によると、上戸小学校は現在も多くの避難者が生活している。電気は通っており、下水道は同校が所有する個別浄化槽が機能しているが、上水道は復旧していない。現在は自衛隊がろ過した川の水を使い、グラウンドに仮設浴場を開設しているという。
ランドリー車を使用するには電源のほか、給水と排水が可能な環境が必要。同市は地震発生直後から条件がそろう場所を探していた。同校には電気と下水道があり、水は自衛隊の入浴用水を共用できることになったため設置が決まった。
ランドリー車は23日に現地に到着し、設営が終わり次第、運用を始める予定。当面は無料開放する。同社の社員と設営業者ら13人が現地に向かう。
養父市も職員2人をランドリー車に同行させ、現地で給水手配や利用案内などの運営補助を行う。防災安全課の津崎宏行課長(58)と税務課の田中智也主事(25)で、派遣期間は27日まで。その後は他の市職員が2人ずつ5泊6日の日程で交代し、約1カ月間補助を続ける。
出発式では、山本運輸の山本洋介社長(47)が「他に類のない支援方法。役割を全うしたい」と語り、津崎防災安全課長は「被災者の心に寄り添って笑顔で支援したい」と話した。