ダイバーたちのアイドル「サクラダンゴウオ」。生まれたばかりの時期は頭上に「天使の輪」の模様がみられる(城崎マリンワールド提供)
ダイバーたちのアイドル「サクラダンゴウオ」。生まれたばかりの時期は頭上に「天使の輪」の模様がみられる(城崎マリンワールド提供)

 真ん丸の体とつぶらな瞳で、多くのダイバーをとりこにする「サクラダンゴウオ」の繁殖に、城崎マリンワールド(豊岡市瀬戸)が成功し、稚魚100匹を豊岡市竹野町の海に放した。繁殖に参加した関係者らは「大きくなって帰ってきて」と願い、水深約15メートルの海中で見送った。(大高 碧)

 サクラダンゴウオは、日本海に生息するダンゴウオ科の魚で、成魚は体長約1~2センチ。2017年に新種として登録されたばかりで、生態に謎が多い。

 桜が咲くころに繁殖期を迎えることからその名が付いたといい、腹部の吸盤で海藻などに付着して暮らす。生まれたては頭上に「天使の輪」のような模様があり、見る人を楽しませる。

 自然界では個体数が減っているとされ、竹野の海で採取したサクラダンゴウオを24年から常設展示するマリンワールドが繁殖に取り組んでいた。

 今年4月7日に初めての繁殖に成功し、約300匹の稚魚が誕生。そのうちの100匹を海に返すことにした。

 放流は近くでダイビングショップを営む田中陽介さん夫妻の協力で、竹野浜の沖にダイバーが潜り、約1時間かけて海藻の近くなどに放した。

 放流に参加したマリンワールド飼育員の佐々木雅大さん(35)は「ゆっくり泳いでいった。自然の中でも元気に育ってほしい」と名残惜しそうに話した。

 サクラダンゴウオは、マリンワールドで観賞できる。入園料は7月17日までは高校生以上2千円、小中学生千円など。城崎マリンワールドTEL0796・28・2300