iPS細胞からつくったネフロン癆の病態を再現したミニ腎臓(東京科学大提供)
 iPS細胞からつくったネフロン癆の病態を再現したミニ腎臓(東京科学大提供)

 人工多能性幹細胞(iPS細胞)から腎臓を模した「オルガノイド(ミニ臓器)」をつくり、腎臓の指定難病「ネフロン癆」に有効な薬の候補を発見したと東京科学大などの研究チームが19日、国際科学誌に発表した。

 ネフロン癆は、組織が硬くなる「線維化」が起き、腎臓の機能が低下する遺伝性疾患で、主に小児期に発症する。有効な治療法はなく、進行すると人工透析や腎移植が必要となる。原因遺伝子は数十種類以上確認されているが「NPHP1」という遺伝子の変異が最も多い。

 チームは、遺伝子を自由に改変できるゲノム編集の技術を使い、NPHP1のないiPS細胞を作製。このiPS細胞からミニ腎臓をつくったところ、線維化が起きやすく、ネフロン癆の病態を再現できた。

 詳しく調べると、正常なiPS細胞からつくったミニ腎臓と比べ「Hippoシグナル」と呼ばれる細胞内の伝達経路が過剰に働いていることが判明。Hippoシグナルを邪魔することが知られている数種類の薬剤をミニ腎臓に与えたところ、線維化を抑えるものが複数見つかった。